君とひまわりと私 K.T (ページ21)

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春が終わり、桜が散れば、

あっという間に雨の季節がやってくる。

朝、しとしとと降る雨を見上げながら駅へと向かう

ずっと晴れていたから、久しぶりに見た気がする雨。

水溜りを避け、ローファーが濡れないように歩きながら、

ふっと、息を吐いた。

雨は、嫌い。

なんだか心が、寂しくなってしまうから。

朝の混んだ電車に乗り込みながらそっと、

ほぼ無意識に、ポケットの中のお守りを握りしめた。

学校に着いて、いつものようにこなしていく授業とその日の課題

じめじめした空気のせいか、クラスの雰囲気はいつも以上に居心地が悪くて。

嫌だけれど、目の前のプリントと向き合うしかなかった。

だんだんと近付く放課後

海人は、今日もあのベンチにいるのかな。

突然、そんな疑問が浮かぶ

海人も私も、優しい日差しに包まれるのが好きで、あそこに行っているわけで。

だから、雨の日にあの場所に行っても

濡れてしまったベンチには座れないし、あたたかい空気を目一杯吸い込むこともできない。

つまり、多分だけど、

今日はあそこに行っても、海人に会えない気がするんだ。

ぼんやりとそんなことを考えて、

ただでさえ憂鬱な気分が、もっと寂しくなっていく

だけどホームルームが終わった瞬間、なぜかわからないけど突然海人に会いたくなって。

学校を急いで飛び出して、

居ないかもしれない。居なくても仕方ない。

そんな風に、がっかりしないように、

自分にたくさん言い聞かせながら雨の中、あの公園を目指す。

こんな雨の日は、いつもよりももっと。

あたたかい海人に、会いたくなるんだ。

公園の中、いつもいる小学生たちも今日は居ない

閑散とした砂場を見て、すっと心が冷える

やっぱり今日は、海人も居ないんじゃないか。

諦めてしまいそうな心をどうにか奮い立たせて、

すっかり葉っぱだけになってしまった桜の木々の間に入る。

降り続ける雨の中、やっと見えてきた、濡れそぼるいつものベンチ。

その様子が寂しくて、つい泣いてしまいそうになる。

そしてやっぱり、海人はいない。

太陽がないとここに来る意味がない、そんなことに気がつかされてしまった。

じわりと心に、寂しさが広がる

……帰ろう。

諦めてため息をひとつ、ついた時、

「今日さ、すっごい雨、降ってるよね。」

まるで、ずっと会話をしていたみたいな君の声が、

私の耳に、滑り込んで来た。