君とひまわりと私 K.T (ページ17)

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またやってきた週末の午後、半ば走るように急いで向かった公園のベンチ

そこに海人の姿はなくて、時間ずれちゃったかな、と少しだけ不安になる

だけど、ベンチに置かれた海人の荷物が目に入り、慌てて周りをぐるりと見回した

どこに、いるんだろう。

目を凝らしてみても、その姿は見つからない

とりあえず待ってみることにして、今日もあたたかいそのベンチに腰を下ろした

「あ～A！ごめんごめん！！」

しばらくそこで待っていると、私を呼ぶ声が聞こえてそっちを振り返る

すると、海人が数人の小さな子どもたちと、こちらに駆け寄ってくるのが見えた

「あ、海人」

「お待たせ。今ね、ちょっとちびっ子たちと遊んでて。ごめん、結構待った？」

わらわらと楽しそうに桜を見上げる小さな視線たちに囲まれ、海人はまた、綺麗に笑う

「ううん、そんなに待ってないよ、大丈夫」

「ほんと？良かった」

「ねえお兄ちゃんここの桜すごいね！！」

「ほんと！！すごい！！」

小さな子どもたちは桜吹雪の中をくるくると駆け回って、嬉しそう

そんな様子に思わず海人と顔を見合わせて、微笑み合った

やがて子どもたちは手を振って、公園の奥の方へと走っていく

ふと見上げた海人の横顔が、幸せそうで。

なんだか君のことを、素敵だなと思った

「可愛かったね、小さい子たち」

「ね、可愛かった。俺がここにいたら一緒に遊ぼ～！って走ってきたんだよね。俺断れなくてさぁ」

「ふふ、なんか海人っぽい」

「ん？なんだそれ」

ひだまりの中、今日も私たちはお互いを知っていく

その時、気まぐれでカバンに入れてきた飴があることを思い出した

「海人、これあげる」

「何？え、わ、」

「私の1番大好きな味。たくさんあるから、もらって」

海人の手の上にころりと転がした、小さな飴

渡した後にその顔を見上げると、困惑したような表情の君に、少し驚いた

「…え、ねえ、ちょっと待って」

「あ、ごめん。海人こういう飴とか好きじゃなかった？」

「いや、違くて。逆なんだよな」

「逆？」

君がゆるりと、口角を動かす

「俺、これが1番好き。いろんな飴あるけど、なんかこの味が大好きで」

「……ほんと？」

「ほんと。だから嬉しい。ありがと」

甘酸っぱい空気に、また胸が高鳴って

「………ねえ俺らさ、なんかやっぱ偶然多いよね。」

「そう、だね」

まだこれを、偶然と呼んでいた頃の私たち。