君とひまわりと私 K.T (ページ16)

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海人が、私のことを待ってくれている。

その事実は、私をもっと、どきどきさせた。

待ち合わせをしているわけじゃないし、時間を合わせているわけでもない

だけど私たちは、その日からも毎日、ベンチで会うようになる

ある木曜日、ホームルームが終わった後

朝に受けた小テストの結果が悪かった私は、居残りして復習をするように担任に言われてしまった

早く、海人に会いたいのに。

目の前の渡されたプリントを睨みつけて、シャーペンを手に取る

難しい単語が並ぶ英文

眉間にシワを寄せながら、問題を解き始めた

「遅くなっちゃった、」

家の最寄り駅、電車を降りたホームでひとり、ため息をつく

団地の間に沈んでしまいそうな太陽

海人、まだいるかな。

居なくてもしょうがないけど、居てほしい。

ブルーな今日という日の終わりに、君に、会いたかった。

やっとたどり着いた公園の入り口

せっせと足を動かして、いつものベンチへと向かう

桜の木々が見えてきて、居るかな、居ないかな。と、

いつもよりどきどきしながら、その中に足を踏み入れた

ピンク色の景色の中、一番最初に見えたのは、海人の長い足。

「……海人」

嬉しくなって、その名前を呼びながら駆け寄ったけど、

君の顔を見て、急いで口をつぐんだ。

やっと見えた海人の目は、しっかりと閉じられていて、口の方は少しだけ開いている

そっと近寄ると聞こえた、規則正しい呼吸

君は、夕日のひだまりの中で、

気持ち良さそうに、眠っていた。

今日も、待っていてくれたんだね。

急に君を愛おしく思って、そっととなりに腰を下ろす私

こもれびに輝くそのふわふわの髪の毛に、触れたくなって。

そっと、君に向かって手を伸ばしてみる

するとその時、君の目が、ゆっくりと開いた

「……あれ、A？」

「うん、おはよう。」

何度か瞬きをして、その瞳が私を見上げる

「………俺、寝てた？」

「そう、みたいだね」

「……うわ～、ごめん。待ってたら寝ちゃってた、」

焦ったように私に謝る海人

その姿が、本当に可愛くて。

「え、何！なんで笑うの！」

「ふふ、なんかちょっと、嬉しくて。」

思わず、笑顔になる

「待っててくれたんでしょ？今日も」

「まあ、そうだよ、」

「ありがとう、海人。」

「……どういたしまして。」

私たちはしばらく、そこで会話に花を咲かせた。