君とひまわりと私 K.T (ページ15)

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また、新しい1週間が始まる。

今日も特に楽しいこともなく過ぎていく、学校での時間

あっという間に放課後になって、いそいそと校門をくぐり、駅へと向かう

電車に揺られながら、またベンチのことを考えていた

今日も、行ったら会えるかな。

なんて、すっかり海人に会うのが楽しみになっていて。

でも、偶然を装ってずっと君を待っているのも、ちょっとだけ恥ずかしい。

いっそのこと、本当に待ち合わせできたらいいのに。

突然浮かんだそんな考えに、慌てて頭を振る

なんだろう、私。

なんか、どきどきしてる。

なぜかわからないけど、急に上がった心拍数

それを誤魔化すかのように、ポケットの中のお守りを握りしめた

そしてやってきた、あの大きな公園。

いつものベンチに向かおうとするけど、

毎日君を待ち伏せているのは、変な気がしてしまう。

行くの、やめようかな。

ゆらゆらと揺れる気持ちを抱え、

しばらくそこでぐずぐずと立ち尽くしていると、

「A？」

自転車置き場の方から、私を呼ぶ君の声

振り向けばそこに、海人が居た

目が合ってしまえば、ぽわっと心があたたまる

会えたことが、とっても嬉しくて。

そんな何も言わない私を見て、海人は一度、瞬きをする

「行かないの？ベンチ」

「あ、えっと、行く」

「よかった。一緒に行こ」

さっきまで迷っていたのに、海人に聞かれてすぐ「行く」と答えてしまった

そんな自分に、戸惑う

ふたりでベンチに向かって歩き出すけど、少し空いた距離が、なんだかくすぐったい

桜の木々の間に入ると、海人が突然、私に声をかけた

「ねえ、土日もここ来た？」

もちろん、私はここへ来た。

来たけど、なんだかやっぱり海人には言えなくて。

「……ううん、来てないよ。」

どきどきする心臓を抑えて、そんな返事をした

すると、海人が私をくるりと見下ろして、

「なんで？」

少し怒ったように、そんなことを言う

「………なんで、って？」

「だって俺、Aが来るの待ってたんだけど。」

「え？」

「待ってたの。ここで、Aのこと。」

私をまっすぐに見つめるその深い瞳

君が、私を待っていた。なんて。

胸の高鳴りが抑えられなくて、つい視線を落とす

海人の息遣い

桜の先に見えてきたベンチ

何も答えられなかったけど、

ベンチに座った私たちの距離は、

いつもより、近かった。