君とひまわりと私 K.T (ページ14)

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海人と放課後を一緒に過ごすようになってから、

少しだけ、私は明るくなれたような気がするんだ。

もちろん、未だに学校ではひとりだし、

勉強のプレッシャーで息苦しいのに、変わりはないのだけれど。

金曜日が終わり、迎えた週末

午前中に課題をこなして、さて、次は何をしよう。と、時計に目をやる

その時、ふと見上げた窓の外の空

大きな太陽の眩しさに、目を細めた

散歩でも、しようかな。

急に思い当たって、だけどとてもいい考えだと感じた私は、

すぐに家を出る支度を始める

行き先はもちろん、あのベンチ。

わくわくしながら小さなカバンに最低限のものを入れて、ファスナーを閉めようとしたその時、

ふと、手が止まる。

そういえば海人は、今日何時ごろにベンチに来るのかな。

ていうかそもそも、今日は来るのかな。

いつのまにか、目的が散歩ではなく、海人には会うことにすり替わっている

そんなことに気がついて、少しだけ恥ずかしくなった

とりあえず、ベンチに向かってみよう。

いろいろ渦巻く考えを頭の片隅に押しやって、私は部屋を出た

「ちょっと散歩してくるね」

「あらそう？じゃあ、帰りに牛乳買ってきて！」

リビングの母親に声をかけると、すぐにそんな返事が返ってくる

両親はふたりとも、私が少し学校のプレッシャーに負けそうなことを知っていて、

ここ最近は、私の気分転換になる用事を、積極的に作ってくれたりしていた

本当に、ありがたいことだよね。

「わかった、牛乳ね」

「お願いね～」

明るく手を振る母親に見送られ、

私は外の世界に、勢いよく飛び出した。

そうしてひとりでやってきた、いつものベンチ。

少しばかりどきどきしながら、木々の間を抜け、目を凝らしてみる

だけど今日、君はそこに、居なかった。

桜が揺れる中、太陽にあたためられたベンチに腰を下ろす

買い物も頼まれているし、そこまで長くは居られないけれど、ちょっとだけなら。

なんて、

また私は、君を待ってしまいそうになった。

さすがに、休日までこうして海人を待っていたら、

なんだかちょっと、怖い人なような気がして。

慌ててその場から立ち上がる私

まだそんなに親しくないのに、ストーカーみたいになりたくない。

それに、待ち合わせしてるわけじゃないんだから、会えないのが普通だし。

たくさん言い訳を並べながらそのまま、ベンチをあとにした。