君とひまわりと私 K.T (ページ12)

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やがて、私は毎日公園のベンチに通って、そこにいる海人と話をするようになる

もちろん、今日も。

「A～」

先に座っていた私のところに、君が駆け寄ってくる

軽く手を振り返してベンチに座り直すと、海人は優しく微笑んだ

「今日も、待っててくれたんだ。」

「ちょうど今、来たところで、」

「……ふうん、まあいっか。そういうことにしといてあげよう。」

海人はきっと、私の嘘に気がついている

その状況にちょっぴりどきどきする私のとなりに、君はいつものように、腰を下ろした

「てかさ、なんか俺思った。」

「何？」

座った直後、私をじっと見つめてくる海人

返事をしたのに、君はなかなか話し始めない

じーっと、交わる視線。

そんな風に見つめられたことは、久しぶりで。

だんだんと上がってくる心拍数

どきどきしながら、瞬きをすると、

ふへ、っと海人はまた、明るく笑った

「なんか俺らさぁ、」

「ここで毎日、待ち合わせしてるみたいじゃん？」

待ち合わせ、してるみたい。

その言葉で、実際には会う約束なんてないことを思い出す

それなのに私、こんなところで君を毎日待ってるなんて、

少し、変なのかな。

「時間合わせてないのに、俺が来る時にはAがもう居るし、」

「………」

「俺がちょっとここでのんびりしてる時も、Aが来たりするでしょ。」

「そう、だね、」

「なんか、そう考えたらすげえ！って、思って。」

ね、って首を傾げる君が眩しくて、なんだか直視できない。

私が毎回君を待っていることを、少しだけ恥ずかしく思った

「……すごい、偶然だよね、」

「ね、だよね。」

苦し紛れに同意した私に、海人はうんうんと二回頷く

それと同時に優しく揺れた、柔らかそうなその髪の毛

「あれか、俺の学校とAの学校、終わる時間が同じくらいなのかな。」

「そうかもしれないね」

「ね。俺、ここでひとりであったまってるのも好きだったんだけどさ、」

海人がまた、私を見つめる。

「誰かといるのも、意外といいなぁって。最近思う」

Aは？と、質問をするかのように、きらりと瞬きをする君

私たちはまだ知り合ったばかりで、お互いのことも、何も知らない。

だけどなぜだか、一緒に居て安心感があって。

「私も、ふたりもいいなぁって思う。」

「……やっぱそっか。よかった」

私の返事に、海人は嬉しそうに目を細めた。