君とひまわりと私 K.T (ページ11)

今日:25 hit、昨日:0 hit、合計:109,256 hit

11 ページ11

・

次の日、やっぱり頭の中は君でいっぱいで。

英語のダイアログを聞き流しながら授業中、はやくひだまりに行きたい。って、

そればっかり、考えていた。

今日も学校が終わって、ベンチに向かう

木々の間から見えた、そのあたたかい場所

だけど今日はまだ、君は来ていなかった。

ちょっとだけ寂しくなって、腕時計を見る

まだ時間もあるし、少し待ってみようか。

そんなことを考えた自分にちょっと驚いたけど、

いつものそのベンチに、ゆっくりと座った

しばらく待っていると、

「すいませ～ん。」

やがて聴き慣れた声が、私の耳に入り込んでくる

その言い方を、ちょっとだけ可愛いなと思いながら、

君の声がする方へと、顔を向けた

「あの～、となり、空いてますか。」

こちら側に近寄って来ながら、君はいたずらっぽく笑う

まるで初対面みたいな口調で、面白い。

「空いてますよ、どうぞ」

「ありがとうございます～。」

私の方も、その口調を真似してみたり。

君がよいしょっと、いつものように、私の横に座る

そしてすぐに、くるりと私を振り返った

「今日も、会えたね。」

「うん、会えたね、」

突然そんな甘い声で、そんなくすぐったい言葉を聞かされると思っていなくて

少し戸惑ってしまった私。君はそんな私を、まだ見つめていた

「なんかホームルーム伸びてさ、もしかしたらA、もう居ないかな～って思ったけど。居てよかった」

「……そうだったんだ」

「ねえ俺のこと、待っててくれてたの？」

きらきらとした笑顔で、私の返事を待つ君

待ってた。待ってたけど、

それを言ったら、君が引いてしまうんじゃないか。そう思って、

「……ううん、私も、ホームルーム伸びて、」

ギリギリな嘘を、ついた。

「え～？ほんとかぁ？」

「え、ほんと。ほんとだよ、」

「そう。まあでも会えたし！何でもいいけど。」

きっと嘘だってバレてると思うけど、

君はもうそれ以上、追求してこなかった

そして、訪れた沈黙

今度は私から、君に声をかける

「………そういえば、海人くんは、」

「ちょい待ち。海人でいいよ。俺もAって呼ぶし」

「………え、っと」

「てか、海人って呼んで？ね？」

期待するように光るその瞳

あたたかい日差しを浴びながら、

「………じゃあ、海人、」

「うん、俺はAに、そうやって呼ばれたい。」

私たちの距離が、近くなった気がした。