85 ページ36
・
玄樹のことを意識してるのは、多分私だけ。
次の日の朝、ふたりとまた学校に向かいながら、私はそんなことを考えていた
玄樹の発言とか行動に、喜んだり落ち込んだり
感情が忙しく動き回るけど、きっとどれも玄樹にとっては何でもないことで。
私が、もしかしたら。って期待するようなセリフも、全部、
好きだから、なんかじゃない。
それは私たちが、恋人とは違う意味で、距離が近いから。
海人も、言ってた。
私が意識しすぎなんだ、って。
そうだよね、周りから見たら、そうだよね。
私が、誰よりも近くにいるこの関係性に、勝手に深い心を求めて、
それでひとりで調和を乱して、苦しんで。
少し前を歩くふたりの背中を、じっと見つめる
もし私が、この自分の気持ちを大切にするとしたら、
海人との関係、私たち3人のこの大切な繋がりは、
失われて、しまうのかな。
それなら私はこのまま、
この気持ちを伝えない方が、いいのかもしれない。
「いやAさん歩くの遅すぎ！」
のろのろと歩く私を振り返ったのは、海人
続けて玄樹も振り向いて、そのふたりの視線が、私に集まる
「早く行くよ、A」
玄樹が首を傾げて、カバンを背負い直した
ああ、好きだな、君が。
それから好きだ、
3人でいられる、この時間が。
ゆっくりと息を吸って、小さなため息をひとつ
やっぱり、伝えない方がいいのかもしれない。
「ねえほんとに遅いんだけど。置いてくよ？」
「A、海人が怒ってる」
ちょっとだけ不機嫌そうな海人と、
私を心配そうに見つめる玄樹
そうだ、やっぱり。
このままでいいんだ、このままで。
君の1番近くに居られるなら、
このままでも、いいじゃないか。
通り過ぎていく同じ学校の女子たちが、海人と玄樹のことを振り返っていく
みんな嬉しそうにふたりを盗み見て、その後に私を少しにらんでいるような気がして。
いつか、1番近くにもいられなくなるのかな、って
そんな少し先の未来のことも、考えてしまった。
私、君たちのことが、好きすぎるのかもしれない。
「………ごめん、遅刻しちゃうよね、」
「ほんとだよ！じゃあこっから学校まで競走な」
「え、私ふたりに勝てるわけないじゃん」
私の言葉を最後まで聞かずに、走り出す海人
玄樹が笑って、追いかける
大切な、私たちの時間。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 175人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩愛(プロフ) - 0129さん» あけましておめでとうございます！いつもありがとうございます！まだまだたくさん書きますので今年もどうぞよろしくお願い致します^^ (2021年1月12日 19時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
0129 - 結構遅いけど、明けましておめでとうございます！今年も詩愛さんの作品をたくさん読むのが楽しみです！！ 続き、楽しみにしてます！ (2021年1月12日 2時) (レス) id: a2fc4a9d11 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - (名前)ruuuukuさん» ありがとうございます！ぜひ最後までよろしくお願いいたします^^ (2021年1月7日 20時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ruuuuku(プロフ) - これからどうなるかドキドキです！更新いつも楽しみにしてます！！ (2021年1月6日 21時) (レス) id: d18f02a9e2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩愛
| 作成日時：2021年1月3日 15時
