53 ページ4
・
その日から、玄樹は部活でとても調子がいいみたいで、
君に、置いていかれている。
私は、そんなことを思うようになってしまった。
いつも私の少し後ろを歩いていた可愛くて小柄な君は、
私よりも大きくなって、部活でも活躍をし始めて、
その小さいようで大きな変化、近くにいるからこそ見える変化に、
私は、戸惑うことしかできなかった。
「は〜、ほんとさっきの授業つまんなかった！」
2時間目のあと、次の授業の準備をしていると、大声で話し出したクラスの女子たちの会話が聞こえてきた
「いやほんとにね？」
「ね〜でも窓際でよかった〜。ほら、前言ってたかっこいい野球部の人、体育してたから！なんとか起きていられたよ〜」
野球部。
突然その単語が私の耳に滑りこんできて、身体中に緊張が走る
盗み聞きみたいだけど、脳が会話を全て拾い上げてしまって、どうすることもできない
野球部でかっこいい人なんて、いっぱいいる。
そう思うのだけど、どうしても嫌な予感がして。
だって玄樹、今日体育あるって言ってた。
「なんだっけ〜名前。そのかっこいい人」
「もうすぐ忘れるじゃん！」
けたけたと笑うその子
まさか、玄樹じゃないよ、きっと。
そう願ったのに、
「岩橋くんだよ！岩橋玄樹くん」
きゃー！言っちゃった！と、途端に恥ずかしそうにする女の子たち
その声がやけに大きく聞こえてきて、なぜかわからないけど、だんだんと頭が重くなる
ちらりと見れば、女の子たちは黄色い声をあげながらかっこいいよねかっこいいよね、って、
まるで、好きな人みたいに。
昔からずっと、玄樹のとなりは私だけだと思っていた
これから先も、私だけの可愛い大切な人だと思っていた
だけどもちろん、そんなわけ、なかった。
「岩橋くん、超かっこいいよね」
「しかも可愛いし」
クラスメートたちの言葉が、私の心にちくちく刺さる
痛いな、なんでかな。
君のその花が咲くような笑顔とか、
きらりと光るまっくろな瞳とか、
真っ白な肌、凛々しい眉毛
くるんって上がる、可愛い口角
ずっと見てきた、君のこと。
急に玄樹に会いたくなってしまって、そんな自分にまた、戸惑って。
なんだか君が、少しだけ遠くに行ってしまったような気がする
年齢と共に私たちの関係性が変わるなんて、思ってもみなくて、
それが、間違いだったんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 175人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩愛(プロフ) - 0129さん» あけましておめでとうございます！いつもありがとうございます！まだまだたくさん書きますので今年もどうぞよろしくお願い致します^^ (2021年1月12日 19時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
0129 - 結構遅いけど、明けましておめでとうございます！今年も詩愛さんの作品をたくさん読むのが楽しみです！！ 続き、楽しみにしてます！ (2021年1月12日 2時) (レス) id: a2fc4a9d11 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - (名前)ruuuukuさん» ありがとうございます！ぜひ最後までよろしくお願いいたします^^ (2021年1月7日 20時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ruuuuku(プロフ) - これからどうなるかドキドキです！更新いつも楽しみにしてます！！ (2021年1月6日 21時) (レス) id: d18f02a9e2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩愛
| 作成日時：2021年1月3日 15時
