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俺らは、そのあともしばらくその街におった
だけど、そいつは頻繁に、苦しそうに涙を流す
そんな様子を、見てられんくて。
「大丈夫か、？」
この夏だけで何回目か、泣き出したそいつに近寄った
会えない、その事実は、
どこまでもどこまでも、俺らを苦しめる。
「明日、もう帰りましょう、ここまで、ありがとうございました、」
泣き続けるそいつは、俺にそう言った
ああ、これで終わってしまう。
こいつの、大切な季節が。
「……いや、そもそも俺も余計なお世話やった。ごめんな」
頷くしかない、情けない俺。
俺はやっぱり、何も、守れんかった。
その次の日、俺らはこの街を離れることになる
「最後に…海、見てきてもいいですか、」
そいつは、荷物を詰めている俺に、そんなことを聞いてきた
何度も海を見ては泣いとったから、正直心配やったよ。だけど、
最後に、見ておきたい。そんな言い方されたら、
「……まあ、気をつけてな」
年上ぶって、微笑むことしか、できんかった。
荷物を車に積みながら、俺はまた、ひとりで君のことを考える
また俺は、大切なものを守り損ねたよ。
今更、君に会いたいなんて言っても、
夏は、始まらない、よな。
やっと海から戻ってきたそいつは、やっぱり泣いていて。
「……もう大丈夫なら、泣くなよ、」
そう言いながらも、俺も、
夏が始まらない。そんな空気を、痛いほど感じてしまった。
「踏ん切りつきました」
そのあと、絞り出したような声だけど、そう言ってみせるそいつに、泣きたくなる
お前、強いな。
俺なんかより、全然。
結局、弱いのは俺だけ。ってことなんかな。
「ほーら、乗れって」
運転席から、ゆっくりと目を閉じて、潮の香りを味わっているそいつを急かす
するとその時突然、
「ねえ、夏さぁ、まだ始まったばっかなんだけど、」
そんな声が聞こえてきて、俺は思わず、目を見開いた
声のする方には、深い目をした男
そして、明らかに表情が変わったあいつ
ああ、そうなんや。
そいつの忘れられんやつは、きっとこの男で、
夏は、
俺たちの季節は、
まだ、始まったばっかなんや。
俺の夏も、
こいつらの夏も、
まだ、終わってないんや、って。
その男の言葉で、気がついた。
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詩愛(プロフ) - janiizさん» はじめまして！お読み頂きありがとうございます〜！繋がりに気がついて頂けて何よりです^^ そう言って頂けてとても幸せです私はT_T 今後もどうぞよろしくお願いいたします！ (2021年5月28日 0時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
janiiz(プロフ) - はじめまして！私は最初、海人くんとの海のお話を読んでいたので、繋がっていることに気づいた時は凄く驚いきました！！どのお話も本当に面白くて、感動して最高です！詩愛さんのお話大好きです！これからも頑張ってください！ (2021年5月25日 19時) (レス) id: ee18d358d6 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - しぃたんさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！またよろしくお願いいたします^^ (2021年1月17日 10時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
しぃたん(プロフ) - もう、めっちゃ泣きながら読んでました。続き読んでみたいです。 (2021年1月16日 23時) (レス) id: 92dc000457 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - lemon09さん» ありがとうございます！笑 今日はゆっくり休んでくださいね！ (2020年12月20日 11時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2020年9月29日 22時
