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そして俺はまた、君のいない夏を迎える。
夏のはじめ、俺は後輩のあいつが待つ駅まで、借りてきた車を走らせた
サークルのやつらとノリでとった車の免許
まさか1番最初に女子を乗せることになるなんてな。
窓の外には、通り過ぎていく街並み
風を感じながらハンドルを操作していると、ふと、
“早く、勇気出せよ“
岸さんの、険しい表情を思い出した
勇気、か。
せやな。俺、
いつまでも、意気地なしすぎるよな。
ぼんやりとしたまま、目的の駅に着いて、
窓の外、そいつの姿を探して。
「……みーっけ。」
大きな荷物を転がしているそいつを、やっと見つけると、
ぽろりと溢れた自分の独り言、その震えた声に、戸惑う。
夏が始まる、そんな予感の中
俺を探して、きょろきょろと首を動かす
その姿が、ほんまにAに、似とったから、
つい、泣いてしまいそうやった。
どうにか感情を押し込んで、車の中からそいつに声をかける
そいつは俺の指示通り荷物を後ろに積んで、
今度は独断で、後部座席に乗り込んだ
「誰が後ろ座れ言うたん」
戸惑うそいつに、俺は少しだけ、意地悪をする
「それって、どういう、」
「ここ。お前はここ、座れ」
助手席を叩いてみると、わかりやすくびっくりして、
だけど素直に、俺の横に腰を落ち着けるそいつ
ちらりと見てみたその横顔は、それでもやっぱり君に似てたよ。
そいつは、少し緊張しとるみたいで、
だけどその目の中に、強い、決心が見えた
「じゃ、行きますかー」
「……よろしく、お願いします、」
「なに緊張しとるん、おもろいな笑」
そう言って、つい茶化してしまったけど、
俺も正直、めちゃくちゃ緊張してて。
こいつの夏は、うまく始まるんやろうか。
そんな不安を、感じてたんよ。
運転をしながら、そいつとゆっくり会話をする
結局は私のこと好きですよね。とか。
まー、ずいぶんと生意気なことを言われたりもして。
そういうとこはちょっと、君には似とらんかったけど。
会話の合間、少し暖かい沈黙が流れる
ちらりと見たそいつの表情は、やっぱり強い決心がにじんでて。
人にここまでするんやったら、
俺も、前に進まなあかんよな。
“ねえ廉くんはさ、海、好きでしょ。”
遠い昔、君とした海の話
なあ、ほんまは、
ずっと君と、海に行きたかったんやで。
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詩愛(プロフ) - janiizさん» はじめまして！お読み頂きありがとうございます〜！繋がりに気がついて頂けて何よりです^^ そう言って頂けてとても幸せです私はT_T 今後もどうぞよろしくお願いいたします！ (2021年5月28日 0時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
janiiz(プロフ) - はじめまして！私は最初、海人くんとの海のお話を読んでいたので、繋がっていることに気づいた時は凄く驚いきました！！どのお話も本当に面白くて、感動して最高です！詩愛さんのお話大好きです！これからも頑張ってください！ (2021年5月25日 19時) (レス) id: ee18d358d6 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - しぃたんさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！またよろしくお願いいたします^^ (2021年1月17日 10時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
しぃたん(プロフ) - もう、めっちゃ泣きながら読んでました。続き読んでみたいです。 (2021年1月16日 23時) (レス) id: 92dc000457 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - lemon09さん» ありがとうございます！笑 今日はゆっくり休んでくださいね！ (2020年12月20日 11時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2020年9月29日 22時
