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だけど、容赦なく夏は近づく。
だんだんと日差しが鋭くなり、
空気がぼんやりと熱くなってきて、
夏がまた来るんだ、そんな予感がしてきていた
廉くんと私は、まだぎくしゃくしたまま
ふたりきりの幸せな時間は、いつしか気まずい沈黙に変わっていて、
私は相変わらず、君の気持ちがわからない。
だけど、私はなぜか期待していた。
きっと今年も夏が来れば、
時間が今よりもっとできて、私たちはまた距離を縮められる、って。
まるで夢から覚めたかのように、君とまた笑えるんじゃないか、って。
絶対にそうなる、とは言えない。だけど、
私たちにとって。少なくとも私にとっては、
あの夏は特別で、私たちの戻るべき場所だったから。
夏休みになれば、
私たちはまたあの夏を繰り返すように、
想いに溺れていく、はずだった。
はず、だったのに。
「……お父さん、今、なんて言ったの」
眩しい夏休みが近づいてきたある日の夕方、
家に帰ってきた私は、リビングに呼ばれた
たった今父親から聞かされた言葉が、うまく処理できない
私の困惑したような表情にお父さんは、ふう、とため息をついた
「お父さんだって急なことで困ってるんだぞ、何度も言わせるな」
「………なに、その言い方、」
思わず、手のひらを握りしめた
帰ってきて告げられたのは、
急に決まった父親の転勤と、引越しと、
私の、転校。
本当に、急だった
夏への淡い期待が、私の心のどこか奥で弾けて割れる
君の顔が、浮かんだ
「引越しの準備を急いで進めなさい。夏休みに入ってすぐだからな」
信じられなかった。
淡々と事実だけを突きつける、この親が。
「………いつも、そうだよね、」
思わず溢れる涙
絞り出した声は、怒りと悔しさで震えていた
「いっつもそうやって、私の気持ちなんか考えないで、」
「結局は自分の都合で全部決めて、私から自由を奪って、」
「A！」
お母さんの声が聞こえるけど、
止まれなくて。
「自分勝手だよ、ふたりは」
「A、なんてこと言うんだ？」
「もういい」
そのまま飛び出したリビング
両親の呼ぶ声にも応えず、滑り込んだ部屋、床にカバンを叩きつける
濡れた目を閉じると、
廉くんの顔が、もう一度浮かんだ。
ねえ私たち、
どうなっちゃうのかな。
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詩愛(プロフ) - みあさん» 遅くなってしまってすみません…！ぜひ続きもお楽しみに！！ (2020年10月8日 21時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
みあ(プロフ) - テスト終わり久々にこの作品に戻ってきたら、つい泣いてしまいました笑 今後の展開が楽しみです！ (2020年9月5日 0時) (レス) id: 985d7c4caa (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - 駿さん» お読み頂きありがとうございます！今後どうなるのかぜひ楽しみにしていてください！更新頑張ります^^ (2020年9月1日 15時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
駿(プロフ) - 廉くん全然来ないし今までも冷たいから「ばか！！」って言いながら見てました！！！（やめとけ）ハッピーエンド願ってます(TT) (2020年8月31日 23時) (レス) id: c2f4c5f056 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - はなさん» 読んでくださってありがとうございます！嬉しいです……どうぞ今後の展開も楽しみにお待ちくださいね！楽しんでいただけるように頑張ります^^ よろしくお願いいたします！ (2020年8月31日 11時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2020年8月16日 13時
