134 ページ36
・
結局岸くんに何も言えないまま、
新しい1日が始まる。
その朝も、廉くんは駅で私を待っていた
おはよう、なんて。
いつにまにかそんな言葉ですら言えなくなっていて
ただ、黙って歩く通学路
悲しくて、ずっと苦しくて、
君の名前を呼ぼうとその横顔を見上げても、
君は私を、見ていない。
こんなことなら、そうやって毎朝私を待たないでよ。
何も感情がないなら、そうやって中途半端に優しくしないでよ。
「…………」
なんて、そんな言葉は、言えない。
私の方にだって悪いところがあるし、
廉くんのことが、大好きだったから。
・
その日のお昼休み
私たちはまた、中庭に集まる
「廉〜！からあげくれ！！」
「またか、これ俺のなんやけど。」
「だからくれって言ってんじゃん！」
「いやだからね、これ俺の。」
岸くんと仲良さそうにじゃれる廉くんは、
いつも通り。少しも寂しそうに見えない。
みんながふたりを見て笑う
廉くんのとなりにいる私だけが、
また、違う世界を生きているみたいだ。
「てかおかしいやん。からあげとなんか交換やろ、普通」
「いや、物々交換じゃなくて！プレゼントしてよ！」
「誰がするか」
みんなの笑い声が、妙に心に響く
全然心地良くなんかないその響き
むしろ、泣きたくなるほど、痛かった
となりにずっといるのに、いつからか君は、
私との間を、少しだけ空けて座るようになったよね。
いつも通りに話をする廉くん、
やっぱり、君の気持ちを知りたい。
「じゃ、また放課後な〜」
お昼休みが終わって、みんなが教室に戻ろうと立ち上がる
岸くんのあとについて中庭を去ろうとする君を、
「ねえ廉くん」
思わず、呼び止めた。
振り返る君、ふたりきりの空間
今、教えてよ、
「………廉くん。私のこと、嫌いになった？」
君に言ってほしくて。
私からじゃなくて、君から。
好きなら好きと、嫌いなら嫌いと、
言ってほしかっただけなのに、
「………俺の気持ち、わからん？」
君はそう言って、私を見つめるだけ。
それって、どっちなの、
好きじゃない、そういうこと？
君のその瞳からは、何も読み取れない
遠くで、チャイムが鳴る
君が、離れていく
君はそうやっていつまでも、
私に言葉を、くれないんだね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1056人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩愛(プロフ) - みあさん» 遅くなってしまってすみません…！ぜひ続きもお楽しみに！！ (2020年10月8日 21時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
みあ(プロフ) - テスト終わり久々にこの作品に戻ってきたら、つい泣いてしまいました笑 今後の展開が楽しみです！ (2020年9月5日 0時) (レス) id: 985d7c4caa (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - 駿さん» お読み頂きありがとうございます！今後どうなるのかぜひ楽しみにしていてください！更新頑張ります^^ (2020年9月1日 15時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
駿(プロフ) - 廉くん全然来ないし今までも冷たいから「ばか！！」って言いながら見てました！！！（やめとけ）ハッピーエンド願ってます(TT) (2020年8月31日 23時) (レス) id: c2f4c5f056 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - はなさん» 読んでくださってありがとうございます！嬉しいです……どうぞ今後の展開も楽しみにお待ちくださいね！楽しんでいただけるように頑張ります^^ よろしくお願いいたします！ (2020年8月31日 11時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩愛
| 作成日時：2020年8月16日 13時
