124 ページ26
・
君とやりとりをした後、
その授業は、まったくと言っていいほど頭に入らなかった
大丈夫だ、って。きっとわかりあえる、って。
そんな風に言い聞かせても、
もし、廉くんが許してくれなかったら？
もし、まだものすごく怒っていたとしたら？
そんな悪い考えも、言い聞かせた数だけ、浮かんでくる
はじめての、ケンカだった。
それも、些細なことでの。
お互いにどうしたらいいのかわからなくなっていた私たちは、
この時は、まだまだ子どもだったよね。
「「ありがとうございました〜」」
やっと授業が終わって、お昼休みになる
震える指で教科書をしまって、
お弁当を持たずに、教室を出た
なぜかいつもより冷たく感じる渡り廊下
暖かい日差しは今日もそこにあって、眩しく私たちを照らしているはずなのに
私は、その光をはじめて、冷たいと思った。
何も変わらずに、いつものように、景色を輝かせている、
その光を。
指定した教室の前に着いた時、君はもうすでにそこにいた
窓から中庭を見下ろしているその姿は、少しばかり怖くて、
だけどとっても、かっこよかった。
「廉くん」
人があまり来ない廊下、その名前を呼ぶと、
ゆっくりと、君の視線が私に刺さる
「来てくれて、ありがとう」
「…………」
私がそう伝えても、まだ何も言わない君
これはきっと、まだ怒ってる。
「………あの、今朝はごめんね、」
なんとか目をそらさずに、
君をまっすぐに見て、伝えた言葉。
「廉くんの気持ちわかってたのに、嫌な思いさせて、本当にごめん。」
「これからは、もっと気をつけるね」
だけど廉くんは、
何も、言ってくれなかった。
その声で、また私の名前を呼んで、
しゃーなしな。って、呆れたように笑ってほしかったのに。
「………別に、」
「別にもう、ええから。」
突然するりと、君からこぼれ落ちたそんな言葉
「………それって、どういう意味？」
怖かった。聞きたくなかった。
君の表情に、あまりに色が無さすぎたから。
「そのまんまの意味やけど。」
君はまだ、冷たい。
もういい、って、まさか。
そんな悲しい、意味じゃないでしょ？
だって、たったこれだけのことで、
「………ねえ、廉くん、」
私に背を向けて立ち去る君に、
私の声は、聴こえていたのかな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1056人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩愛(プロフ) - みあさん» 遅くなってしまってすみません…！ぜひ続きもお楽しみに！！ (2020年10月8日 21時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
みあ(プロフ) - テスト終わり久々にこの作品に戻ってきたら、つい泣いてしまいました笑 今後の展開が楽しみです！ (2020年9月5日 0時) (レス) id: 985d7c4caa (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - 駿さん» お読み頂きありがとうございます！今後どうなるのかぜひ楽しみにしていてください！更新頑張ります^^ (2020年9月1日 15時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
駿(プロフ) - 廉くん全然来ないし今までも冷たいから「ばか！！」って言いながら見てました！！！（やめとけ）ハッピーエンド願ってます(TT) (2020年8月31日 23時) (レス) id: c2f4c5f056 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - はなさん» 読んでくださってありがとうございます！嬉しいです……どうぞ今後の展開も楽しみにお待ちくださいね！楽しんでいただけるように頑張ります^^ よろしくお願いいたします！ (2020年8月31日 11時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩愛
| 作成日時：2020年8月16日 13時
