97 ページ48
・
今まで、こんなにも家に帰りたくなかったことがあっただろうか。
暗い道、ひとりで家にたどり着いた私は、ドアノブに手をかけて少しだけ身震いした
どうして私の親って、こうなのかな。
そんなことを考えたって親が選べるわけじゃないし、誰かの親と入れ替わってくれるわけでもない
これは、しょうがないことなんだ。
思い切って開けたドアは、きっと世界で一番重かったと思う
「A帰ったの？すぐにリビングに来なさい」
お母さんの声、さっき開けたドアのように重たい足を動かして、私はリビングに向かった
「遅いじゃないか。こんな遅い時間まで外にいるなんて何を考えているんだ？」
部屋に入った瞬間に、お父さんの鋭い声が刺さる
いつもこう。私があまりに自由すぎるのかもしれないけど、両親はかなり短気だ
でも、今回は私にも言い分がある。
「………図書館で、勉強して来ていいって。言われたからしてたのに、」
そうだ。そもそも出かけることを許したのはそっちじゃないか。
お父さんに向かって、恐る恐る主張した自分の思い
しばらくの沈黙のあと、お父さんが口を開いた
「お父さんたちは確かに勉強をさせるつもりでお前の外出を許可した。」
「それならどうして、」
「それはお父さんたちがお前に聞きたい。」
「本当にお前は、図書館でひとりで勉強してたのか？」
その言葉に一瞬、心臓が止まりそうになる
廉くんといるところ、見られちゃったの？
「こんな長い時間、ずっとお前が図書館で勉強してるなんてあり得ないだろう」
「私たちがわからないとでも思ったの？」
「何をしていたか知らないが、お前はきっと嘘をついた。違うか？」
よかった。きっとふたりは、廉くんのことを見たわけじゃない。
少しだけ安心して、思わずホッと息がもれそうだった
「どうなんだ？」
鋭い口調に身が縮む
勉強はしていた。だけど、廉くんと一緒にいたのも事実で、
「……やっぱり、嘘だったのか。」
何も。何も言い返せなかった。
「いいか、今からしっかり準備をしないといい大学には行けないんだからな。」
「新学期からも、寄り道や外出は制限するわよ。」
最後に言われた言葉
部屋に戻った私は、
どうしても涙が、溢れてしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1016人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩愛(プロフ) - zzzさん» お久しぶりです^^ 苦しいのに読んでくださってありがとうございました。つらかったら無理をなさらないでくださいね。 (2020年10月15日 0時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 第２章最後にいけばいくほど、自分の過去とリンクしてしまって涙で読み進めるのが苦しかったです。第3章もどうか、主人公ちゃんが廉くんの優しさに包まれてひとときだけでも幸せを感じられますように。 (2020年10月14日 11時) (レス) id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - ZZZです。主人公ちゃん、廉くんに打ち明けられて良かった…。そして、それを受け入れ受けとめてくれる廉くんで良かった。二人が幸せでいてほしい。ただ、それだけ。 (2020年10月14日 11時) (レス) id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - くみちゃんさん» 読んで頂いてありがとうございます！嫌ですよね……T_T 今後の展開をお楽しみに！第三章もよろしくお願いいたします^^ (2020年8月16日 13時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
くみちゃん(プロフ) - こんな家庭環境いやです〜(´；ω；｀)親のレールに乗りたくないですねえ(´；ω；｀)でも廉くんと別れるのは勘弁です！！ (2020年8月15日 20時) (レス) id: 6ced6daadc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩愛
| 作成日時：2020年7月27日 11時
