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「少し校内を見て回ることって、できますか？」
遠慮がちにそう聞いた勇太に、先生は微笑んだ
「もちろんよ。ただ、生徒たちの物は壊さないようにね」
「やった、ありがとうございます」
君が嬉しそうに頭を下げて、私も急いで右にならう
「帰る時また、声かけてちょうだい」
「わかりました」
「それじゃ、ごゆっくり。」
「行こ、A」
君が、先生の前で私の手をとろうとするから、急いでよけた
「何してんの、繋ごうよ」
「もう、勇太…」
またしても確信犯。
楽しそうに笑う君を見て、先生まで笑った
「仲良しでいいわね。じゃあ、邪魔者は消えるわ」
先生が職員室に入っていくと、すぐに君に捕まった私の右手
「恥ずかしがんないでよ、もう知られてたんだし。」
「恥ずかしいものは恥ずかしいでしょ、」
そんな私に、君はまた笑って、私の手を引いた
「行こうよ、俺たちの教室」
「………うん、」
廊下の窓から差し込む光で、君の瞳が輝く
繋がれた手、私たちは、渡り廊下を歩き始めた
2年次に私たちが使っていた教室は、今も2年生の教室として使われていて、
「これ、入らない方がいいよね」
「うん、私もそう思う」
放課後で誰もいないけど、なんとなく溢れる生活感に、そんな判断をした
「……いやー、懐かしいなー」
勇太がゆっくりと、廊下から教室を見渡す
「なんかあの頃より、教室が狭く見えるね」
「勇太、背伸びたもんね」
「Aは？狭く見えない？」
「う〜ん、あんまり変わらないかな」
「じゃあ俺が大きくなったんだね、多分」
間違いない、君は大人になったよ。
あの頃と同じ、目線じゃない。
あの頃みたいに、こどもじゃない。
私たちは、時間には逆らえないよね。
じっと君を見つめる私の顔を見て、
君はすっと、いつものように口角を上げる
「………俺ね、おぼえてるんだ」
「何を？」
私の問いに、君は教室の中のひとつの席を指差した
「Aの最後の席、あそこだよね」
君はそう言うと、私に向かって自信に満ち溢れた顔をする
「よく、おぼえてたね、」
「まあね？それくらいは」
「勇太の席は、あっち。だよね」
私だって、負けてないけど。
遠くを指差す私を見て、君は驚いたように微笑んだ
「よくおぼえてたね？」
「まあね、それくらいは」
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詩愛(プロフ) - びてさん» わ！ありがとうございます嬉しいです！！見つけてくださりありがとうございます！コメントとっても嬉しくてまた意欲が湧いてきました^^ ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします！ (2021年12月12日 17時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
びて(プロフ) - 気がついたら一気読みしてしまいました…！胸がぎゅっと締め付けられるような、切ないストーリー、思わず泣いてしまいました…！！素晴らしい作品をありがとうございました…！作者様の作品、全部大好きです…！これからも応援しております〜！！ (2021年12月11日 21時) (レス) @page50 id: c945aa9546 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - zzzさん» こんばんは！読んでくださってありがとうございました！これからも頑張りますね、引き続きよろしくお願いいたします^^ そしてもう一度、フォローもありがとうございました！ (2020年4月27日 18時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
zzz - 蒼く染まれ。気づいたらイッキ読みしていました。人物像を似せて文面を考えるのって、とてもとても難しいと思いますが、本当に素敵な作品でした。ツイッターもフォローさせてください。他の作品も楽しみにしてます。 (2020年4月26日 18時) (レス) id: f5724e95b1 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - さくらさん» ありがとうございます！表現するのがなかなか難しかったのですが、そう言って頂けて本当に嬉しいです泣 どうぞ次のお話も楽しみにしていてください！ありがとうございました^^ (2020年4月16日 11時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2020年3月31日 18時
