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・
「……ていうか、寒くない？大丈夫？」
突然また冷たい風が吹いて、君が震えながら私に聴く
「ちょっと寒いかも。」
「どっか入る？なんかあるかな、」
きょろきょろと周りを見回す勇太と私
すると、明るく光る看板が目に入った
「勇太、あそこ行こう」
私が指を差したのは、
「カラオケ？いいね」
まだこの時間でもやっている、カラオケ。
「ふたりで行くの、はじめてか」
そのカラオケ店に向かって歩きながら、そんな会話をする私たち
「だね。私、勇太の歌が聴きたいな」
「Aも歌ってよ？笑」
「う〜ん、考えとく。」
なんでよ、って笑う君と、お店の入り口をくぐった
・
案内されたのは、まあまあに狭い部屋
上着を壁にかけるとなんだか緊張してきて、君と少し離れて座った
「なんでそんなとこ座るの、こっちおいでよ」
「だって、」
「いいから来いって」
君が私の腕をつかんで自分の方に引き寄せる
すとんと座り込んだ君の隣は、思った以上に心地良かったけど、
「………近くない？」
「むしろ遠くない？」
ぎゅっとくっついた肩と肩
これでもかってくらい近いのに、君はおどけてそんなことを言う
やっぱり、いつも余裕そうに見えて、悔しいな。
「なにすねてんの」
笑いながら私の鼻をつまんだ君の手首をつかんで抵抗する
「勇太、歌って」
「はいはい、歌うよ笑」
もう一度君は笑って、繋がれていない方の手で曲を打ち込みはじめた
・
勇太の歌、こんなにちゃんと聴いたことなかったな。
バラードをしっとりと歌う君の横顔を見つめて思う
結局私は曲をひとつも入れずに、勇太の歌をひたすらに聴く、
そんな、優しく、心地良い時間。
別に眠くなってきたとか、そういうわけじゃない。
だけど突然、そうしたくなって、
君の肩にそっと、頭を預けた
「眠い？」
君は歌うのをやめて、私に聴く
「ううん、歌って。」
「でも、」
「いいの。私も今、やりたいことリストに追加したい」
さっきの君みたいに、突然そんなことを言う私を、君は見下ろす
交わる視線に、胸が痛い
「………勇太の声、ずっと聴いていたい。って」
ずっと、ずっと。
いくつになっても、ずっと。隣で。
ごめんね勇太、私やっぱり、
春なんて、来て欲しくないや。
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詩愛(プロフ) - びてさん» わ！ありがとうございます嬉しいです！！見つけてくださりありがとうございます！コメントとっても嬉しくてまた意欲が湧いてきました^^ ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします！ (2021年12月12日 17時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
びて(プロフ) - 気がついたら一気読みしてしまいました…！胸がぎゅっと締め付けられるような、切ないストーリー、思わず泣いてしまいました…！！素晴らしい作品をありがとうございました…！作者様の作品、全部大好きです…！これからも応援しております〜！！ (2021年12月11日 21時) (レス) @page50 id: c945aa9546 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - zzzさん» こんばんは！読んでくださってありがとうございました！これからも頑張りますね、引き続きよろしくお願いいたします^^ そしてもう一度、フォローもありがとうございました！ (2020年4月27日 18時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
zzz - 蒼く染まれ。気づいたらイッキ読みしていました。人物像を似せて文面を考えるのって、とてもとても難しいと思いますが、本当に素敵な作品でした。ツイッターもフォローさせてください。他の作品も楽しみにしてます。 (2020年4月26日 18時) (レス) id: f5724e95b1 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - さくらさん» ありがとうございます！表現するのがなかなか難しかったのですが、そう言って頂けて本当に嬉しいです泣 どうぞ次のお話も楽しみにしていてください！ありがとうございました^^ (2020年4月16日 11時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2020年3月31日 18時
