蒼く、染まれ Y.J（２） (ページ7)

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チョコレートフェスティバルはその週の週末にあった

約束の当日、あっというまに目が覚める

友達と遊びに行く時の比じゃないくらい、念入りに髪の毛を整えたり、

鏡に映る自分の姿を何回も確認してしまう、そんな朝。

平日以外に、学校じゃないところで君と会えるなんて、嬉しすぎて今にも心臓が飛び出していきそうだ

緊張しすぎて、ふらふらと変な足取りで待ち合わせの駅へと向かう

神宮寺くんは予想通り、5分前行動を心がけている私よりも早く来ていた

「あ、こっちだよ」

私を見つけて、手を挙げて微笑む

「ごめんね、遅くなっちゃって」

「ん？全然。むしろ待ち合わせより早いよ」

「でも神宮寺くん、先に来てたから、」

「だって、女の子待たせたらだめでしょ？」

いいから、行こうよ。と、笑いながら神宮寺くんは手招きをした

なんて、完璧でかっこいいんだろう。

明るくおしゃべりをする君の横顔に、思わず見惚れてしまった

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2人で乗り込んだ電車は少しばかり混んでいて、私たちはドアの目の前に並んで立つ

「……ねえ見て。あの小学校、見える？」

走り出した電車の中、突然君が窓の外の学校を指さした

「？見えるよ」

「あそこね、俺が行ってたとこ」

神宮寺くんが、ちょっと恥ずかしそうに笑う

「え、そうなの？」

「そう。俺の地元ここらへんでさ」

「知らなかった…」

通り過ぎて行く景色に、君の地元はあっという間に去っていってしまった

「……俺ら意外と、こういう話しないよね」

「そうだね、お互いどこから来てるのかとかも、知らないし」

私が同意すると、神宮寺くんは少し何かを考えているかのように、視線を泳がす

「………じゃあ、今日は、」

ゆっくりと話し出した君は、私とばっちり目を合わせた

「いつもより長く一緒にいることだし、お互いを、もっとたくさん知る日にしよっか」

ああ、君との1日が始まるんだ。

そんな風に、今日という日の現実味が増す

「………私、神宮寺くんのこともっと知りたいな」

突然の大胆な私の発言に、

君は驚いたように1度だけ瞬きをして、

「………俺は、それ以上にAちゃんのこと、知りたいよ」

またそういうことを言って、私をどきどきさせるの。

「………今の、割とまじだから。」

呟いて顔を背ける君を、

私は、好きになってしまっていた。