蒼く、染まれ Y.J（２） (ページ49)

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「で？どうしたんだよ今日は」

料理と飲み物が運ばれてきて、岸くんが私に聴く

「どうした、って？」

「なんか話したかったんじゃねえの？」

「ああ、うん、実はね」

岸くんは、結構人のことちゃんと見てるよね。

「俺ちょっと予想ついてっけどね」

そう言ってナプキンで手をふく岸くん

「多分。それだと思うけど」

私も手をふいてお箸を取る

「神宮寺くんの、ことで」

「だろうね！！！」

また途端に大きい声で顔をくしゃりとするから、面白い

「なんだっけ。会ってんでしょ？結構頻繁に」

「そうなんだよね、」

「また付き合った？まだ？」

「付き合ってないよ。」

「どっちから誘うのいっつも」

「ほぼ神宮寺くんかなぁ」

「へー！やるな神宮寺」

岸くんは興味津々、話を聞いてくれた

「じゃあ神宮寺はAのこと好きかもじゃん」

「わかんないけどね、」

「いや仮に！！仮にそうだとすんじゃん？Aは？？神宮寺のこと好き？？」

突然話の核をついてくる岸くんを、少し恐ろしい人だと思った

「うーん……なんか私もだんだん…神宮寺くんのこと考えるようになってきちゃって」

「マジ！！やっべーー！！キュンキュンじゃん！！！」

「ねえほんとに声大きいから、」

「わりい！！めっちゃ楽しんだけどこの話！！」

悪いなんて思ってないでしょ。

にっこにこの岸くんを見ながらそんなことを思う

「で、どうすんの、告んの？」

身を乗り出して聞いてくる岸くんは、本当に無邪気だ

「いや………多分、もう一度やり直すっていうのは…無理だと思うんだ」

「え、マジ。なんでなんで」

「なんでって……一回別れてるんだもん」

「世の中には復縁って言葉あるけどね」

「それ、そんなに簡単なことじゃないみたいだよ」

「恋愛ってむずいね。俺もう、わっかんねえわ」

「諦めるの早いなぁ、」

岸くんは、うーん、とうなって自分の料理にやっと手をつけた

私も彼にならって、食べ始める

しばらく食べ進めていると、岸くんが顔を上げた

「ねえちょっと聞いていい？」

「なに？」

「俺ずーっと、すっげー気になってたことあってさ、」

そう言って岸くんはお酒を一口飲むと、

「お前ら、なんで別れたんだっけ」

迷うことなく、私にそんな質問をした。