蒼く、染まれ Y.J（２） (ページ43)

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少し離れたところにいた君と、目が合う

私たちが教卓の前に来ると、先生はにこやかに話し出した

「1年間、本当にお疲れ様。2人がいてくれて助かったわ」

ああ、終わるんだ。

先生の言葉を聞いて、なんとなく寂しく思う

「最後に、掲示物を全部外してもらっていいかしら」

「わかりました」

相変わらず、作業の量が多いような気もするけど、最後だし。

返事をした私と、うなずいた勇太を、先生は交互に見る

「2人は、いいコンビだったわ」

先生は最後にもう一度笑って、よろしくね、と、教室を出て行った

「………コンビじゃなくて、カップルなんですけど。」

先生が見えなくなると、私の横で勇太が呟く

「ねえ、もう、」

おどおどする私に目を向けて、君は笑う

「……ほんと、可愛い反応するよね」

そんな風に、私を見下ろす視線が、優しい

今日の勇太は、なんだか、

いつもより、甘い、気がする。

「……ほら、早く作業始めよう、」

勇太の視線から逃れようとする私に君は呟く

「あっという間に、」

「俺らの最後の、秘密の時間だね」

君の、切なく寂しそうな顔

そういえばいつか、君はこの時間のことを、

″秘密″

たしかにそう、表現していたよね

「………なんか寂しくなるけど、始めよっか」

「うん、」

私たちはやっと、作業に取り掛かった

掲示物をはずしていく途中、

「ん～、」

私は上の方にあるのを取ろうと、頑張って椅子の上に乗って腕を伸ばす

「とれる？」

そんな私に気がついた勇太が、下から声をかけてくれた

「わかんない、」

「俺がやるよ」

君がそう言うから、ありがとう、と椅子からおりようとするのに、

よいしょ、と、そのまま私と一緒に椅子に乗る君

近すぎて、思わず息が止まる

勇太は私におおいかぶさるように後ろから手を伸ばして、掲示物をはずした

「………とれた、」

耳元でささやかれる大好きな声

ふと見上げると視線が重なる

「……A、」

私を呼ぶのと同時に、君は私の顔の横、壁に手をついた

「今日まで学級委員、お疲れ様」

「勇太も、」

「………好きだよ」

呟いた勇太との距離がぐっと縮まって、

その唇が、初めて私の唇に触れた。