蒼く、染まれ Y.J（２） (ページ40)

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私たちは数日後の夜、また会うことになった

その日も、家を出る前に念入りに鏡をチェックする

やっぱり私は、

すごく君を意識、してる。

本当はね、少しだけ、

神宮寺くんとまた一緒にいたいと、素直に思ってるよ。

だけど、どうしても、

君とまた、離れることになってしまうんじゃないかって、怖いんだ。

それなのに私は、君に会いにいくために、家を出る

矛盾してるよね。わかってるよ、そんなことくらい。

待ち合わせ場所は、数駅先のファミレス

だんだんと約束をする時間帯が遅くなっていることに気がついた私は、君の練習時間が心配になる

夜遅くまで練習して、そのあとに私に会うなんて、

無理、してないかな、と。

ファミレスの入り口に着くと、ちょうど君と鉢合わせた

「あ、ちょうどよかった。俺も今着いたの」

「ぴったりだね、時間」

得意げに笑うその姿が、少しだけ。高校生の頃の君に見えた

「ごめんね、ファミレスで。遅くまでやってるとこ、あんまりなくてさ」

案内された席に着きながら、君は謝る

「ううん、気にしないで。」

ありがと、と呟いた君は、背負っていたギターを横に置いた

「……今日も、練習してたの？」

私の質問に、君は苦笑い

「……まあ、毎日してるよ。そろそろ試験だし」

その不自然な笑顔に、なんとなく、違和感覚えていると、

「………はー、しんどいな、」

突然、君は前髪をかきあげて、笑いながら呟いた

「なんかさー、うまくいかないんだよね。」

ぽつりとこぼれる君の心の声

「試験もうすぐなのに、全然手応えないし」

はぁ、とため息をついて、君は窓の外を眺めた

「緊張もしてる。だけど、周りはみんな大学楽しそうにしてて、心折れそうだよ、まじで」

「………そっか、」

やっぱり神宮寺くん、つらい、よね。

君の弱い部分が、初めて見える

私に何か、できることはないのかな。

気がつけば、そんなことを考えていた

「……なんかごめんね？愚痴っちゃって」

黙り続ける私に、君はまた不自然な笑顔で謝る

「ううん、」

そんな神宮寺くんの顔が疲れているように見えて、すごく、切なかった

「………Aはほんとにさ。いつも俺の話にちゃんと向き合ってくれてたよね」

君の目が、細くなる

神宮寺くんはまた、

あの頃の話を、し始めた。