蒼く、染まれ Y.J（２） (ページ17)

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結局、次の日になっても私の熱は下がらなかった

「A、今日私お休みだから、家にいるからね」

朝、お母さんが私の部屋にやってくる

「あ、ありがとう、」

「いいえ、早く良くなってね」

お母さんが部屋から出て行くと、少しだけベッド脇に置いた水を飲んだ

今日も、学校に、行けないのか。

しょうがないことだけど、やっぱりどうしても君に会いたい

そう思ってしまう。

ぼーっと部屋の中を眺めていると、棚に置いてある体育祭のハチマキが目に入った

それはもちろん、君のハチマキで。

「…………」

早く治して、学校で君に会おう。

そう思った私は、掛け布団を握りしめて、ゆっくりと目をつぶった

・

夕方頃、パチリと目が覚める

熱は、まだあるみたいだ。

今、何時かな

少しだけ、ぼーっとしていると

ピンポーン

と、家のインターホンの音が聞こえた

遠くでお母さんが返事をして、ドアが開いたような気がする

玄関先から聞こえる、話し声

配達のお兄さんかな。

そう思ってまた目を閉じようとすると、私の部屋に足音が近づいてくる

しばらくして、ガチャリと開くドア

「A？起きてる？」

入ってきたのは、お母さんだった

「ん、起きてる」

私の顔を見て安心したように微笑んだお母さんは、

「お友達がお見舞いに来てくれたわよ」

と、嬉しそうに伝えてくれた。

「………友達？誰？」

「今、下で待っててもらってるけど、」

会いたいとは思ってたけど、まさかね。

「男の子で……お名前、なんだったかしら……」

だんだんと心臓がどきどきしてくる

「なんだか、珍しい名字で……」

どうだろう、違うかもしれないけど、

「………神宮寺くん、？」

その途端、お母さんの顔が明るく頷いた

「あ～！そうそう！その子！来てもらっても大丈夫？」

「あ、うん、」

「今呼んでくるわね～」

嬉々として出て行くその背中を見送る

君が、来てくれるなんて。

これって、現実なんだろうか。

もしかして、夢を見てる？

なんとなく信じられなくて、目をつぶってほっぺたを、ぎゅっとつねってみた

すると突然、

「……夢だと思ってる？」

声が聞こえて、目を開ける

これは夢じゃない

廊下から、学校帰りの君が、

私をまっすぐに見つめていた。