34 ページ34
・
結局、永瀬に連絡をしないまま数日が経ってしまった
今日は久しぶりの登校日。教室でいやでも顔を合わせる、何を話そう
まったくその話題に触れないのも不自然だし、言わなきゃいけないのは、わかっているのだけれど。
どんな顔して、何を言おう。
朝、駅までの道は長くて、ひたすらそれを考え続けていた
ああ、もう駅に着いてしまう。
定期を出して、改札を通ろうとした時
「はよ」
隣にすっと並んで、改札を通る、永瀬
「あ、お、おはよう」
びっくりして声がひっくり返るけど、そんなことは気にもしていないような君
私たちは無言で駅の中を歩いた
言わなくちゃ、ちゃんと言わなくちゃ。
「永瀬、あのね」
口から出た声は、すでにもう震えていた
「私、落ちちゃった」
周りが騒がしく聞こえるほどの、重い沈黙が私たちを包む
「そっか」
しばらくして君は淡白な返事をした
「でも、Aにしては頑張った方ちゃうん？」
こんな時に、こんな時だから、私の気持ちを逆なでするような言葉を放つ
怒りなのか、悔しさなのか。私はその涼しげな顔をにらんでやろうと思って顔をあげた。
でも。
「嘘」
そう小さくつぶやく永瀬の表情を見たら、そんな感情は一瞬にして消えてしまった
「ちゃんと頑張ってたの、知っとるから」
永瀬の顔は、私と同じか、それ以上に悲しそうで、悔しそうで
思わず溢れてしまう涙
せきを切ったようにどんどん出てくるその想いは、止まらなくて。
朝から泣きたくなかった。
君の前で、こんな風に泣きたくなかった。
ホームで突然大泣きし始めた私と、ただ横で肩を並べているだけの永瀬。
忙しそうな朝のサラリーマンたちは、ちらりと私たちを見ては、通り過ぎていくだけだった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 539人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩愛(プロフ) - ぴーさん» こんばんは！ありがとうございます…！頑張ります！引き続きよろしくお願いします。 (2019年2月4日 22時) (
レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴー - とてもおもしろいです。更新楽しみにしています！！これからも頑張ってください！！ (2019年2月3日 19時) (レス) id: b972a36c14 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - 夕美さん» こんばんは、ご指摘ありがとうございます。外していたつもりだったのですがうまくできていなかったみたいです…。失礼しました。 (2019年1月25日 23時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
夕美 - オリジナルフラグちゃんと外して下さい、違反です。ルールくらい確認しましょう。 (2019年1月25日 23時) (レス) id: b6266b0de2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩愛
| 作成日時：2019年1月25日 23時
