少女は幸せな夢を見るか？

脱走 ページ1

アメリアside

　あいつの目をみはからって家から飛び出す。

　こうなったら一か八か。

　山に逃げれば、撒けるかもしれない。

　裸足のまま私は夜の山を走った。

　枝が足の裏に食い込んで痛いし、心臓がバクバク言ってるけど逃げなくちゃ。

　私はまだ、死にたくない。

　道をそれて藪に入って逃げると、私は足を引っ掛けて倒れた。

　あいつの声は聞こえない。

　撒けたのかな。

　立ち上がると膝と頭に鈍い痛みが走る。

　どうやら怪我をしているらしい。

　けど今は水が飲みたい。

　湧き水でも何でも良い。

　段々体が熱を帯びるのが感じる。

　私の意識が揺らぐ。

｢えっ、君、大丈夫かい？｣

誰かの焦った声が聞こえる。

　誰だろう。

　もう声も出せない。

　死にたくないな。


ジェラルド博士視点

　僕は今医務室の世話になっている。

　今日だって少しバイクの運転を間違っただけなのに医務室に運ばれるとは。

　僕の運転がそんなに危険な訳ないじゃないか。

　小さめの擦り傷を消毒して貰っていると、いきなり医務室のドアが開いてブライトが入ってきた。

　ブライト博士は息を切らして何かを背負っている。

　いや、何かじゃない、人間だ。

｢やあブライト、君に子供が居たとは驚いたよ。｣

｢ジェラルド、今はそんなつまらない冗談を言っている場合では無いんだ。｣

そう言うブライトの顔は切羽詰まった様子で、冗談を受け入れる様子では無かった。


ブライト博士視点

　この子の親は頭がおかしいんじゃないのか。

　こんな夜中に高熱の子供を外に出すなんて。

　子供を医務室に預けてカーテンの近くの椅子に座ると、ジェラルドが話し掛けてきた。

｢ブライト、あの子供はどうしたんだ。｣

｢施設の近くで高熱を出して倒れていた、後で記憶処理をして家に返そうと思う。｣

それを言うとジェラルドは驚いた顔で私の方に向き直った。

｢ここって山奥だろう。しかも今は深夜だし子供を深夜に外に出す親の所に帰しても良いのかい。｣

其処が悩みどこ何だ。

　ここは山奥。

　空からじゃないと間違いなくここへはこれないし、普通は子供が来れる場所では無いだろう。

｢まぁそれはあの子供が目覚めたら考えよう。それまでは私も少し眠らせてもらうよ。｣

後は起きたら考えよう。

｢そうか、おやすみなさい。｣

　



　
　

目覚め→

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