【碓氷真澄】おかしな日常【男主】 (ページ6)

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騒ぎ始めたシトロンを受け流し次から次へと質問を投げてくる至に分かる事を出来る限りで返していく。

初めて見た笑顔がずっと目に焼き付いている事、彼奴の何気無い仕草で胸が焼かれた様に熱くなる事、無意識に目で追いかけてしまう事、彼奴を見ているだけで身体の奥底から何かが這い上がってくる様な感覚に陥る事。

「……真澄。」

やけに深刻そうな面持ちの皆(シトロン除く)に自然と体が強ばる。そんな俺に気付いていないのか、至に幾分か低い声で呼ばれる。

「それ、恋だよ。」

「は？」

うんうんと皆が頷く中、思いもしなかった答えに思考が停止しかける。

恋。即ち手を繋ぎたいだとか、キスがしたいだとか、兎にも角にも愛しい･好きだという気持ちがある事。今まで監督に抱いていると思っていた感情が、彼奴に？

そんな驚きが隠せない気持ちとは裏腹に、頭ではどこか納得してしまう節があった。

初めて言葉を交わした時の笑顔で、所謂一目惚れをしたというのならば全ての症状に納得がいく。
ただ俺には監督が居るからと無意識に否定していただけなのだと理解出来てしまった。そう、認めてしまったのだ。

「……好き。」

彼奴、Aへの"それ"を自覚した瞬間、せき止められていた想いがドバドバと溢れかえってくる。好き。好きだ。あの笑顔が見たい。俺だけに話し掛けて欲しい。この手で抱き締め閉じ込めてしまいたい。

「会いたい……。」

「重症すぎw」

そうこうして次の日、Aにとって悲劇の始まりである出来事へと発展していくのだった。