彼女は死んで少女は生きる (ページ6)

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頑なに笑わない君ページ6

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モラクス「蝴蝶(フーティエ)」

「岩王帝君」

蝴蝶

俺がそう呼ぶ者は表情をピクリとも動かさず見上げる

まだ不慣れなのだろう

体をカタカタと鳴らしながらやっとの思いで立ち上がるのには時間がかかる

モラクス「今から散歩に行くのだが、お前もどうだ？」

「……しかし」

モラクス「安心しろ、お前に合わせる」

「…有難う御座います……」

蝴蝶を連れて散歩に行く必要などない

しかし、この子が少しでも過去のことを思い出せるようになるべく人と接し、景色を見せ、ほんの少しでも記憶わ取り戻せる手がかりがあれば、と思う

そう考えてるうちに、蝴蝶は不器用に歩き出していた

人間の身体とは違い、この子は人形だ

つい最近俺が見つけ呼び覚ました為、身体を動かすには時間がかかる

モラクス「手を貸そう」

「有難う御座います」

俺の腕に蝴蝶の手が絡む

しかし、驚く程に冷えているな

凡人であれば触るのですら難しいのではないかと言う程

……仕方ないのだろう

こやつは

モラクス「どこまで行こうか」

「なるべく近場で」

こやつはただの"人形"にすぎなかった