とある少年のお話

part8 ページ8

「どうして？どうしてなの？」

『……？』

「どうして私、もうすぐ死んじゃうの？怖いよ、死にたくない！」

『……、大丈夫、古事記ってしってる？』

「コジキ？」

『うん。……ほら、ここ。イザナミとイザナギの話。』

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イザナギとイザナミの話

イザナミが一日に1000人のﾋﾄをけすといった。

イザナギは一日に1500人のﾋﾄを生み出すといった。

『死んだら、ここへいくんだ。……彼岸に。』

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彼岸は悩みから開放される場所。

それに対し、此岸は悩み狂う場所だ。

「ありがとう！これでいつ死んでも大丈夫！怖くないよ！」

『それはだめだよ。』

「なんで？」

『そんなことしたら、僕が悲しむから。』

「でも、私は……広いところに、いくんだ。」

『？』

「そこだったら、もう病気が治るみたい！」

『じゃあ……悪化しちゃったの？』


「え？そ、そうだよ……はは……」

それは、その子が僕に最後に言った言葉。

僕は、その意味を悟ることはできなかった。


後日、その子は亡くなった。

その子の名前は、

「……ミコト。」

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