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二十四・蝶と洋燈と本棚と ページ28

物怪から洋燈(ランプ)を受け取り私たちは境界の奥へと進んだ。





センパイ曰く、黒い本は亡くなっている人、白い本は生きている人のこと。





じゃあ、花子のなら黒い本を探せばいい。





そう思って周りを見回すと、白い本が大半、黒い本はほぼなかった。せいぜい、チラホラ程度である。









数時間経った。





手当り次第に黒い本の表紙を見ては名前を確認せども花子の本はは見つからなかった。






途方に暮れる私たちの間を再び蝶がヒラヒラと舞った。





労うように、また嘲笑うように。





その蝶はヒラヒラと舞うと私の見えない場所まで飛んでいってしまった。






いったい何処(どこ)へ行ったのやら。






私はぼんやりと考えながら再び本を漁り始めた。






「平、頭になんかついてるぞ」




『マジ?取ってもらえる?』





なにやら私の頭に何かがついているらしい。





取って、と言うと源は私の方に歩いて近づく。





私も取ってもらう為に彼に近づいた。





「ア、アノ……」




『ん?』






少し上ずった様な声が私の耳にこだました。





その声の主は源で、彼の顔は赤く染まっている。





「ち、近くないス……か?」




『へ?…………うわ、ホントだ』





言われて見れば確かに、と納得してしまう距離。





互いの鼻と鼻が触れてしまいそうな程だ。





赤く染まる彼の頬に比例する様に私の頬にも熱が集まった。





『意識させんなよ……お?』




「……」




『私の顔に見とれたか、そうかそうか。』





おそらく私の赤面が美しすぎて、源を固まってしまったのだろう。





しょうがないよな、私こんなにも綺麗だから。




……ごめんなさい。調子乗りました。ホントに綺麗なのはセンパイとかヤコ姉さんです。




ここらで茶番は(しま)いにして、本を探さなくては、とも思ったのもつかの間。





さっきの蝶がまたヒラヒラリ、と(あらわ)れた。




その蝶が花子くんの本を教えてくれるかも!とセンパイはソレについて行ってしまった。




「また何か分かるかも!」




「せせ先輩!」




『ヒトリじゃ危ないですよ』




たったったと水を走り蝶を追いかけるセンパイの後に私たち二人は続いた。

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夕雨(プロフ) - 焼き鮭(・・3鮭)さん» 「焼き鮭ちゃん!」cv鬼頭あかり、になりますね!(全力でからかっていくスタイル) (2020年7月5日 17時) (レス) id: 1aaf65a1f6 (このIDを非表示/違反報告)
夕雨(プロフ) - しばらくの間更新停止とさせていただきます。応援してくださった皆様ありがとうございました。またネタとか色々考えついたら更新しようと思います。ご迷惑お掛けします (2020年7月5日 13時) (レス) id: 1aaf65a1f6 (このIDを非表示/違反報告)
焼き鮭(・・3鮭) - 待って…やっぱ…なしにしてください…_(:3」z)_お願いします… (2020年7月5日 12時) (レス) id: 20ac6cb932 (このIDを非表示/違反報告)
焼き鮭(・・3鮭) - 名前…関係ないけど…焼き鮭(・・3鮭)になる… (2020年7月5日 12時) (レス) id: 20ac6cb932 (このIDを非表示/違反報告)
夕雨(プロフ) - いつきさん» コメントありがとうございます!最近全然投稿出来てなくてすみません、もう少ししたら投稿できると思うのでしばしお待ちを! (2020年3月31日 13時) (レス) id: 1aaf65a1f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夕雨 | 作成日時:2020年1月12日 18時

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