鈴の音が鳴る頃に

十三・キレイ様 ページ13

開いた扉をくぐると、薄暗い、と言うよりかは星が瞬く夜空を映したような部屋が広がっていた。




空をもしてるから高いのか、それともそんなのは関係ないのかその部屋の天井はとても高い。



どこか海を連想させるようだった。




だが、その部屋には先程我々が丹精込めて集めたパーツ達の集合体がただずんでいた。




頭部はこけし。



片足は車輪。



胸は筋肉ゴリゴリボディ。



果たしてこれを人間と呼べるであろうか。
………… いや、呼べねェな。





「ようやく来たのね」



みんなで集めたパーツ達を見ていたら奥の方から声が響いた。



その声は段々こちらへと近づいてきているようで、そちらを向けば一人の女性が立っていた。




その声は私たちに電話を通して指示を出していたヒトだった。




彼女は呼吸を忘れてしまうほどの美貌をもつ女性だった。




背景には百合の花さえ咲き誇る。




白く整った顔に紅を差している彼女は一つの芸術作品の様にも思えた。




さて。そんな彼女だが、スタスタと私たちを通り過ぎ人形をじーっと見つめている。




気、気にくわなかった……？




「これでも頑張って……」




ジロっと私たちを見渡したと思うとにこーっと明るく笑った。




「素敵な身体ね！」





「へ？」




「そんなんでいいのか？」





予想外の解答に私たちはへ、と息を漏らした。




人間らしくないそんな人形でいいのか、と私でも思った。



あろう事か彼女はソレを人間と認めてしまっている。




あぁ……人間への理解が雑過ぎないか？と少しばかり思う。




「そうよね " ミサキ " さあ、歩いてみせて頂戴な」




人形へ期待の眼差しを向ける彼女は、ソレに魂を分けるように息を吹きかけた。




イノチをもらった人形はギ、ギ、と耳に嫌な音を立ててユラりと立ち上がる。





軽くホラー映像である。





ソレを見て二番の表情は歓喜の色に染まった。




＿＿＿＿＿＿ のもつかの間。ソレは完全に立ち上がる前にバラバラになって壊れてしまったのだ。





「また失敗なのね……。残念だわ……」




感情が歓喜から一気に反転した彼女にセンパイが声をかけた。




「あ、あの……。私達の他にも生徒が来ませんでしたか？ その子達は……」




センパイのことなんか気にもせず彼女は人形を見つめたまま答える。



「他？ああ……失敗した子達のことね。それなら





そこらじゅうに居るじゃない」

十四・我楽多→←十二・真っ赤なお守り

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す