分かんないよ ページ40
あれからひと月なんてすぐにたち、Aがアメリカに行ってしまった
俺もイタリアのリーグに帰って練習にあけくれていたが
日本よりもしんどい気がする。俺が帰れば済む話だったし、電話とか連絡も取りやすい時差だったのに
マイナス9時間。Aの練習が終わるのがあっちの夜の7時として、こちらの時間は夜中の4時
電話なんていつしたっけ?それに連絡もほとんど取れていない
AはインスタやTwitterを見ると色んなものを食べて楽しんでる様子
その時Aから電話がかかってくる
あ「やほ?そっち何時です?」
石川「夕方だよ」
あ「そっかぁー、あ、今日ですねわたし初デビュー戦だったんです!」
石川「おめでとう、どうだった?」
あ「リベロ起用でした………笑 祐希さんと一緒」
石川「ふふ、悔しかった?」
あ「とても。でももっと頑張る意欲出てきました。イタリアのリーグはいつ頃終わるんです?」
石川「あと5ヶ月」
あ「わたしも半年。頑張りましょう」
ここで会いたい、と言ったら彼女の重荷になるだろうか
言いたい言葉を飲み込んで胸が痛む
石川「頑張ろ」
久しぶりにした電話はそんな言葉で終わった
会いたいのは俺だけなんだろうか
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Aの売りはサーブとジャンプ力だ
なので、ピンチサーバーなどでたくさん出ていて、2,3ヶ月たった今ではチームの柱として活躍している
負けてられないけど
それよりも会えない方が辛かった
Aのニュースを見る度に会いたい、と思うようになっていった
あ「祐希さん、わたし、シーズン終わってすぐ日本帰るよ」
石川「俺も同じタイミングにする」
あ「あ、お土産何が欲しいですか?」
石川「んー、Aがインスタに載っけてたやつ、めちゃくちゃ美味かったっていってたやつ」
あ「わかりました!わたしはね、ティラミスがいい!」
石川「わかった、食べれないほど買ってくるよ」
あ「楽しみですー!じゃまた!」
そして切られる電話。もうすぐで会える、それまで我慢だ、と自分に言い聞かせる
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日本に帰ってきた。Aの飛行機はあと2時間ほどで着くはずだからそのまま国際便のロビーの方で待っている
時間になってもAは来なかった。ほかの乗客たちは降りてきてるのに、スマホには今日楽しみだね、で止まっている
何か嫌な感じがした
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作者名:りり | 作成日時:2022年5月15日 3時