分かんないよ ページ3
石川「どう？練習」
あ「色んなものを吸収できて、新鮮で、勉強になります」
石川「そっか。学校生活は？」
あ「普通ですけど」
石川祐希と2人で焼肉を食べに行っている
本来であれば、合宿所の飯を食うはずだったのに。
石川「彼氏とかいるの？」
あ「それセクハラで訴えられますよ」
石川「え、こういうのも今はダメなの？」
あ「はい。まあ相手の受け取り方次第ですけど」
石川「そうなんだ。で、彼氏は？」
この人は人の話を聞かないらしい。
あ「いませんけど」
石川「よかった〜俺、Aちゃんのこと好きだったんだ」
あ「は？」
石川「あ、肉焦げるよ」
いや意味がわからない
あ「なんで」
石川「んー、覚えてない？3年前かな。Aちゃんと初めて会った時」
あ「代表の合宿ですか？」
石川「いや、春高の会場だね」
あ「……わたしが高１？」
石川「そ。妹の試合見に行ってたんだけど、決勝の日、雨だったでしょ」
あ「はい」
石川「Aちゃん会場の裏口で泣いてたでしょ」
あ「……傘渡してきた人？」
石川「そう」
あ「あの時、もうどうでも良くて人の顔なんて見てませんでした」
石川「うん、どうでもよさそうだった。俺になんて言ったと思う？笑」
あ「覚えてない…です」
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過去
負けた。先輩たちの最後の舞台で。
勝たせてあげられなかった
会場を出たら雨が降っていた。泣いて泣いて顔が熱を持っていた。だからこの雨で冷ましたらいい、なんて思って傘をささずに、ただ雨に打たれた。
すると、雨が止む。いや、誰かが傘を指してくれた。
高橋先輩かな、なんて思ったが違った
石川「風邪ひくよ」
あ「うざい」
石川「え、」
あ「余計なお世話なんです。誰だか知りませんけど、そっとしといてくれませんかね？！」
そう、見知らぬ他人に、心配をしてくれた他人に怒鳴ってしまったのだ。
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あ「あ、思い出した」
石川「そうそう、うざいって言われたの初めてだったからさ」
あ「すみません」
石川「まあそれで気になったんだよね。俺、そんな扱い受けたこと無かったからなんか新鮮で」
あ「……」
石川「俺を色眼鏡で見てこない人なんだって。それで代表で会った時もAちゃんは俺に媚びてこなかったしさ」
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作者名：りり | 作成日時：2022年5月15日 3時
