今日:36 hit、昨日:4 hit、合計:32,872 hit
小｜中｜大
140 / ふたりの時間 ページ45
side O
「ほんとはね、」
「うん、」
「他にも、あって」
「うん、そうだよね」
「……気づいてた、？」
「態度に出てたとかじゃなくてね、前いろいろ言ってたから、他にもあるんだろうなって思ったの」
「うん、他にもある、………僕だけ、食べるの早いかな、とか、……返事とか、笑顔は、ヘンじゃないかな、とか、」
「うん、」
「……ヘンに思った、？」
彼の話がどこで区切られるか、
どこで彼が返事を欲しいのか
それがわからなくて相槌を打っていると
ぴったり触れていた身体を少し硬くして、尋ねられる。
「ううん、気にならなかった。大丈夫だよ」
「……ほんとに、？」
「ふふ、俺が嘘ついたことあるー？」
「ううん、ない」
気になってしまうことをどうにかしてほしいとかではなくて
簡単にどうにか出来ることではないとわかっていて。
だからただ、“ヘンじゃないよ” の言葉がほしい。
彼がそういうタイプだと、俺らもこの件で知れた。
どんなに身近な関係でも、
深い関係だという自負があっても
知らないこと、知ることができていないことはたくさんある。
初めはわかっていたそれが、いつの間にか薄くなってしまう。
薄くなると、いつかみたいに手遅れになってしまうことだってある。
理解するとまではいかなくても
せめて寄り添って、限界を迎えてしまう前に頼れる存在で居たい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 284人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヲ伽
| 作成日時：2023年3月16日 17時
