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138 / 合言葉 ページ43
side A
「……リーダー、」
「ん？」
「……今日ね、朝から…ちょっと、ヘンで、」
「うん、」
「……夜……ひとりだと、行っちゃいそうだから…」
「うん、一緒に居ようか」
これも、ときどきある。
何が引っかかっていて、何が遺っていて、って
それがわかるときもあればわからないときもあるから、
そんなときに夜ひとりで居るのは、また行ってしまいそうになって不安みたいで。
そんなときは、一緒に居てほしい、って頼まれることがある。
彼がクリニックへの衝動と闘い始めてからも、もう1年近くになるんじゃないかな。
まだまだ名残りはあって、
ときどき、入るギリギリのところまで行ってしまうときもあるけれど
今のところ、再び入ってしまったことはない。
「このあとの仕事も、何かあったら言ってね。ペース落としてやろう」
「ん、…ありがとう、」
"ごめんね" を飲み込むこともときどき、本当に稀にある。
そんな変化も、ちゃんと目に見える。
闘いは長い。
だからこそ、こうやって頼ってくれるのを習慣にしなきゃいけない。
彼もそれはわかっているから、
合言葉を交えて、何とか頼ろうと頑張ってくれる。
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作者名：ヲ伽
| 作成日時：2023年3月16日 17時
