五月雨とアフォガード -3- (ページ5)

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102 / 光の裏の顔ページ5

side M

「……潤くん、上着かけるよ、」

「ぁ、ごめ、ありがと…」

「ね、潤。寝る前、何か考えたりした？」

僕が寝てからまだ1時間弱しか経っていないことを教えてもらって

相葉くんから、そう尋ねられる。

「ううん、あんまり…、」

「………仕事かな、確認したでしょう、寝る前に」

真面目な声をした翔くんのその言葉に

自分でも、どこか納得した。

仕事。

そっか。

.

だって、また、

”気遣ってばかり居るな”、”優しさは短所にもなる” とか言われたら怖い。

どう見られてるかも、どう思われてるかも怖い。

また、あの時みたいに。

.

「………あれ、」

「ん？……潤？」

忘れたと、消えたと信じていたものが

こんな簡単に戻ってきた。

そっか。

信じてなきゃ、消えてくれないんだ。

“あそこなら”、っていう染み付いた洗脳と依存は消えないのに、

それでも信じてなきゃ、苦しさを完璧に消してくれないんだ。

闇から救ってくれる光だと思っていたものは

単なる思い込みでしかなかった。

「………信じてたもの、……全部だめだった…っ」

何も見えないのに、涙だけは零れてくる。

長所だと信じていた気遣いも

光だと信じていたクリニックも。

僕を壊すものばかりだった。