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side N
彼と話す時間や、彼の言葉も増えてきて
5人でのごはんも、あれ以来なかなか話に出せなかったから
その話を彼と出来たのは安心した。
でも、彼の心は
時の流れに従順なわけではない。
「…あら、」
明日はオフだし、ちょっと夜更かししてゲームしちゃおうなんて思って楽しんだあと
深夜1時頃、さぁ寝ようと思えば、潤くんからの着信。
寝室へと一歩踏み入れていた足を戻し、
電話に出ながら準備するためにリビングに戻る。
「はい、どした？」
『ぁ…にの、』
「うん、どした」
ちょっと弱々しい声。
仕事終わり話をしたときは、スッキリした顔してたのにな。
『や……どうも、しないんだけど、』
「んー？」
目は見えているのか、それを伝えず
いつもみたいにどうしてもクリニックに行きたくなる衝動も強くないのか、それも伝えず。
財布と鍵を取り、玄関を出ながら
渋る彼に提案する。
「じゃあちょっとどうもしない話でもしようよ」
『どうも…しない、話？』
「うん、たまにはいいじゃん？すぐ着くから待ってて、」
『ぁ、いや、違うよ、目も見えるし、クリニック…も、大丈夫、たぶん…、だから、』
「ふふ、でももう車走らせちゃった、すぐ着いちゃう」
申し訳なさであたふたしてる声を聞きながら
急いで彼の家へ。
幸いそんな遠くないから、なんてことない話をしてる間に着いちゃう。
「おまたせ、」
「……ごめんね、こんな時間…、」
「んーん、俺が勝手に来たんだから、ふふ」
電話を切る前に玄関を開ければ、彼の電話口からも自分の声が聞こえて。
謝る彼に、事実俺が勝手に車走らせちゃったし、と思い宥めながら電話を切る。
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作者名：ヲ伽
| 作成日時：2023年3月16日 17時
