123 / いつかに置き忘れた言葉 ページ27
side M
ケータリングのとき、リーダーと話せて少しスッキリした。
理解して受け入れてくれたことも、安心した。
やってみよう、って隣に居てくれたことも安心した。
そのことがあって、ちゃんと謝ろうと思った。
ずっと、ずっと心の奥に引っかかっていたこと。
忘れたという思い込みが消えた今だから、ちゃんと。
何度も何度も、5人だけになるタイミングを狙ってたけど
とうとう撮影を終えて帰るときになってしまって。
帰宅の準備が早い相葉くんが楽屋から出て行ってしまいそう。
今、ちゃんと話さなきゃ。
「っぁ、……あの、」
身体の中に結構溜めたはずの声は、
全然大きくなくて、小さくて。
でもそれを、相葉くんもみんなも、ちゃんと受け取ってくれた。
「ん？」
もう既に取っ手に手を掛けていた相葉くんが
手を離して、僕らが座ったままのソファへ戻ってきてくれる。
みんなも、何か話があるんだと察してくれて、身体ごと向いてくれる。
話さなきゃ。
あのときごめんねって。
あ、でも、ケータリングのことを先に言ったほうがいいかな。
でもそれは、もうリーダーが言ってくれてるかな。
「潤、」
話す順番とか、いろいろぐるぐると考えていると
隣から相葉くんの手が伸びてきて、そっと片手を包まれる。
「そのまま話していいよ、聞いてるから」
「じゅ、順番…が、」
「話す順番？」
「うん、今日の…お昼のこと、も…いると、思って、」
「あ、ケータリングの話？リーダーと話したんだよね」
「あ、うん、…聞いてる、？」
「うん、リーダーから聞いた。詳しく聞いてるから大丈夫だよ」
僕が知らないうちに話してくれてたみたいで、
リーダーが詳しく話してくれたことも教えてくれて。
うん、と僕が頷いても手を離さないままで居てくれるから
安心して、言葉がスッと零れる。
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作者名：ヲ伽
| 作成日時：2023年3月16日 17時
