五月雨とアフォガード -3- (ページ23)

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side M

「潤、今何考えてる？」

脳内で言葉がぐるぐる回っているとき

隣から、優しい声が降ってくる。

「話していいよ潤くん」

目の前からも、優しい声。

泣きそうになる。

僕の弱さを受け入れてくれている優しさへの嬉しさと、

ひとりじゃ何とか出来ない悲しさが入り混じって。

でも、それがぽろぽろ言葉として零れ落ちる瞬間には

少し、安堵する。

言えるようになったとか、話してもいいと思えるようになったとか

それを僕自身が感じているのかはまだわからないけれど。

自然と零れるそれに、

僕が無意識のうちに零したいと感じていることを察してくれてるんだと

安堵する。

「俺らの力があるから潤が立ち上がれてるんじゃないよ。
潤が立ち上がろうと思わなきゃ立ち上がれないことなんだから」

「だから、根っこにあるのは潤くんの力だよ。それは間違いないよ」

生きていれば肯定ばかりじゃないのに

否定にも慣れなきゃいけないのに。

優しくしてほしいと思ったところに優しさが降ってくることに

罪悪感さえ持ってしまう。

「肯定してほしいのはみんな持ってる気持ちなんだよ、それを零せるのはいいことだから」

「否定にばかり慣れなくていいんだよ。もう少し、肯定に慣れてごらん」

ずっと、ずっと恐怖で満ちていた部屋が

突然優しさで充満したように。

ずっと、捨て去って外へ出たかったはずのその部屋に居るのが

いつしか、心地よくなっていた。