113 / いつか貴方達に、 ページ17
side M
こうときに限って目が見えるようになるのも、ツイてないな。
「矛盾があったっていいんだよ」
「……でも、……それは、」
「正しくないって思う？」
思い切り図星を突かれて、つい少しだけ彼のほうを向いてしまう。
「ふふ。正しくなんてなくていいの。心の中くらい、正しくなくていいんだよ」
「…、」
「だから、矛盾があったっていいの。そんで、それを俺らにくらい出していいの。俺らは、それを知って傍に居るんだもん」
どんな僕でも、
認めてくれる？
「じゅーん、」
顔に出ていたのか、
眉を下げて微笑む顔に呼ばれる。
目を見ないわけにはいかないような、
そう思わせる声色に、つい振り向いてしまって。
視界の隅に、3つの手が見える。
その手も、そっと僕に触れる。
「大丈夫。潤が生きやすい場所が、どこかにきっとあるはずだから。
この世界にも、潤の居場所は絶対にあるよ。
ここは潤に向いてない世界なんかじゃないから、大丈夫」
そんな優しい顔して、
僕が嫌いな優しい理想を、信じてしまうようなこと、言わないで。
つい安心してしまいそうなことを。
「それが俺らの傍なら、俺らは願ったり叶ったりだけど、ふふ」
僕にも、居場所がほしい。
居場所を作ってくれてることはわかってるんだけど、
でも、その言葉がほしい。
僕は居てもいいかな。
生きやすい場所を作ってって、求めてもいいと思う？
「うん、いいんだよ。俺らがここを、潤の生きやすい場所にする」
心で思っていたことが、
つい小さく口に出てしまっていた。
それさえもちゃんと拾ってくれるみんなに
僕は、恩返し出来るかな。
いつか、居場所探しは終わったって、言えるかな。
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作者名：ヲ伽
| 作成日時：2023年3月16日 17時
