94 / 気遣いの種 ページ46
side S
ニノが潤の手を引いて、リビングへ戻る。
彼を囲んでソファに座るけれど
彼はまた、ずっと俯いたまま。
そんな彼を見て、
智くんがまた、彼の目の前にしゃがんで手を取る。
「潤、」
目を見ることはしないけれど、手は振り解かない。
話を進めて大丈夫だと感じたのか、智くんはそのまま話を進める。
「どうして今、あそこに行きたくなったの？」
さっきの感情を思い出させるような質問。
でもきっと、何か理由がある。
握るだけじゃなく、力の入りすぎた潤の手を摩りながら握る。
そのあまりの優しさに誘われるのか、
そっと言葉を吐く彼。
「………バレて、」
「うん、」
「……あんなとこ、行かなきゃ、……やっていけない、弱いって…、」
「そう思われたかもって思った？」
ん、と頷く彼は
”苦しいのが耐えられなくて、忘れようと思った”、と小さく零した。
「ねぇ、そう思ってないよ。確かに、どうしてあんなところ行ったの、とは思ったけど、弱いなんて思ってないよ」
「っだ、だって、下向いた…っ！」
「あ…、あれがそう思わせちゃったのか。ごめんね、違うの。薬か何か盛られて忘れさせられたと思ってたから、洗脳ってわかってちょっと衝撃受けただけ」
俺らの中では当然のリアクションで、悪意の意図なんてなかったものが
彼にとってはネガティブな批判的なものに受け取られていて。
人に気遣いすぎるのも、こういう面があるんだろうな。
優しさからの気遣いではなくて、怯えからの気遣いなんだろう。
”最近何に怯えてるんだろう”、なんて言っていたけれど
最近だけじゃなく、ずっと彼が持っているものなんだ。
それを智くんは、ひとつずつ打ち消したいと思ってるのかもしれない。
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ヲ伽 -otogi-(プロフ) - nyanさん» そのような方はとっても素敵で、大切にしていきたい方ですね☺️✨ (2023年3月12日 17時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - hiromigenkingさん» きっと誰しもそんな時がありますよね💭そんな時の思いを潤くんに乗せて、ぜひ潤くんを見守ってあげていただけたらうれしいです☺️ (2023年3月12日 17時) (レス) @page49 id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
nyan(プロフ) - でもね、これだけは知っててほしい。 本当に苦しさを和らげてくれようとするところなら、苦しさを消すんじゃなくて、苦しさへの対処法を教えてくれるはずなんだよ 何度も深呼吸しながら読み返しました。一緒に対処法を考えて提案してくださった方に感謝です。 (2023年3月12日 10時) (レス) @page48 id: 6456ef2e96 (このIDを非表示/違反報告)
hiromigenking(プロフ) - 生きにくいんだよ… 助けてよ… の言葉が、胸に響きました。 私もそんな時があったな〜…と。 今はだいぶ、ふてぶてしく生きてますが…。 潤君、立ち上がってほしい。 (2023年3月11日 21時) (レス) @page49 id: 9bb618aa13 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - nyanさん» よくある言葉ですが、キツい言葉ですよね🥲 (2023年3月8日 19時) (レス) @page45 id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽
| 作成日時：2023年1月19日 17時
