50 / 精一杯の嘘 ページ2
side M
どうしよう。
落ちてたときの僕を演じることが、難しい。
「えっと……、本当に、僕、大丈夫で、」
「……飲み物なんていいから、潤、ちょっとこっちおいで」
未だ冷蔵庫の前に突っ立ったままの僕の手を
翔くんが優しく引いて、ソファに連れていかれる。
僕だけソファに座って、みんなはその前にしゃがんで。
心配そうに覗き込まれる。
「潤くん、大丈夫って言って押し込む癖があるでしょう、」
「ん…？や、わかんない、けど…、でも、気分転換したから、」
「最近溜まったものじゃなく、昔からずっとあったものをこの数時間で気分転換出来たの？」
「昔から…？ん……でもほら、僕、ときどき溜まったものが爆発しちゃうときがあるから、それと同じで、」
そういう癖があるでしょう、とか、昔からあるでしょう、とか
今回のことでみんなが気づいた ”僕” が多すぎて、
その ”僕” を僕は知らないままだからわからなくて。
でも、溜まったものが爆発しちゃうのはときどきあることで
それはみんなもずっと知ってたことだと思うから、そういうことにしようと思った。
だって、もう終わったんだもん。
苦しさを消して、苦しさを忘れることが出来て
仕事も怖くなくて。
だから、もう終わり。
どうしたらいいとか、そんなのも考えなくていい。
前の僕に戻れるんだから、大丈夫、ってそれを伝えなきゃ。
「ね、僕大丈夫だよ。仕事ももう出来るよ。ちゃんと気分転換したの」
眉を八の字にして、複雑そうな表情をする4人に
理解してもらおうと、意思を強く込めて伝える。
「……じゃあ、約束して」
最後に、リーダーから
手を握られて、そんな言葉を投げられる。
「何かあったら絶対に言って？
説明出来ないとかでもいいから、言ってほしい。ひとりで溜めこまないで」
いち早く、僕よりも早く気づいてくれた人。
感謝してる。
だから、彼の言うことは守りたい。
でも、
僕に出来るかな。
自分の感情を人に零して、頼ること
僕に、出来るかな。
「………がん、ばる、」
わかった、と言えなかった。
頑張る、と、守りたい意思はあると伝えることが
僕の精一杯だった。
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ヲ伽 -otogi-(プロフ) - nyanさん» そのような方はとっても素敵で、大切にしていきたい方ですね☺️✨ (2023年3月12日 17時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - hiromigenkingさん» きっと誰しもそんな時がありますよね💭そんな時の思いを潤くんに乗せて、ぜひ潤くんを見守ってあげていただけたらうれしいです☺️ (2023年3月12日 17時) (レス) @page49 id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
nyan(プロフ) - でもね、これだけは知っててほしい。 本当に苦しさを和らげてくれようとするところなら、苦しさを消すんじゃなくて、苦しさへの対処法を教えてくれるはずなんだよ 何度も深呼吸しながら読み返しました。一緒に対処法を考えて提案してくださった方に感謝です。 (2023年3月12日 10時) (レス) @page48 id: 6456ef2e96 (このIDを非表示/違反報告)
hiromigenking(プロフ) - 生きにくいんだよ… 助けてよ… の言葉が、胸に響きました。 私もそんな時があったな〜…と。 今はだいぶ、ふてぶてしく生きてますが…。 潤君、立ち上がってほしい。 (2023年3月11日 21時) (レス) @page49 id: 9bb618aa13 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - nyanさん» よくある言葉ですが、キツい言葉ですよね🥲 (2023年3月8日 19時) (レス) @page45 id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽
| 作成日時：2023年1月19日 17時
