48 / 泰然 ページ49
side A
リーダーが預かっていた合鍵でエントランスを抜け
玄関の前でまた、インターホンを押す。
期待はしないそれに、
もちろん応答はない。
端の、あまり目立たない部屋。
立ち往生するしかない状況に、溜め息が4つ漏れる。
柄にもなく、ネガティブなことばかりが浮かぶ。
もしものことがあったら。
そんなこと、普段なら考えずに居られるのに。
見たことない彼の落ち具合に
俺らの知らない彼に、いろんな想像をしてしまう。
俺らがもっと早く気づいていれば
何か対処をしていれば
彼があそこまでにならなかったかもしれないから。
「……電話、もう一回してみる、」
期待のしていない翔ちゃんのその声に
うん、と頷くしか出来なくて。
背後の柵に身体を預けて携帯を弄り始める彼を背にして
俺らは言葉を交わすことなく待っていた。
静寂に包まれる中、携帯をスクロールする音、タップする音が聞こえる。
きっとまた、止むことのないコール音を聞くだけなんだろうと
まるで何年も待ち続けてるような、そんな感覚を覚える。
予想していたいつものコール音。
それが響く前に、背後で携帯を弄っていたはずの彼の声が響いた。
「潤……っ！」
リーダーしか呼ばなかったはずのその呼び方。
なんで翔ちゃんまで、なんて思う間もなく振り向いた先には
驚いた様子の彼。
「潤どこ行ってたの…！」
俺までその呼び方で呼んじゃうんだから
可笑しくて、でもそんなこと認識する余裕なんてない。
「あ、ごめん…、ちょっと、気分転換に…、携帯もずっとマナーモードで…、」
「…っばか、心配するから…っ」
駆け寄ってあまりにも心配する俺らと
つい抱きしめるリーダーに、彼は驚きを隠せない様子。
「潤くん…、よかった、焦るよ…、」
「…ごめんね、連絡返せなくて、」
そっと彼に触れるニノも、今までの焦りを隠せていなかった。
”もしかしたら”
4人の中にずっとあったその焦りと不安が
彼がここに戻ってきたことに、大きな安堵を連れてきた。
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ヲ伽 -otogi-(プロフ) - Kazue Akasakaさん» コメントありがとうございます✨『らしい』という言葉がとてもうれしいです、、！楽しんでいただけるようにがんばりますので、ぜひお付き合いよろしくお願いします🥰 (2022年11月24日 14時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
Kazue Akasaka(プロフ) - こちらでのコメントは初めてさせて頂きます。ヲ伽さんらしい繊細なお話で続きが楽しみです。 (2022年11月23日 19時) (レス) @page5 id: fbdba45f48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽
| 作成日時：2022年11月23日 18時
