21 / 正論の持つ棘 ページ22
side A
でも今目の前で起こってるのは違う。
ひたすらに松潤に対して思うことを述べていて。
周りのスタッフもやばいと思い始めたのか
問題になる前にと、止め始める。
「松潤、松潤おいで、向こう行こう、」
スタッフがプロデューサーを止めてくれたのを見て、
翔ちゃんとリーダーが彼を連れて向かってくる。
それを見て、俺とニノも彼へ駈け寄った。
社会に出れば八つ当たりとかもよくあることなのかもしれないけれど
でも、だからってしていいことではない。
「一旦楽屋戻ろう、」
彼の背に手を添えてそう言うリーダーに、俺らも着いていく。
少し、滅入ってしまってる。
「……大丈夫？今日ちょっと違ったね、」
「……ふふ、今日は一段とイライラしてたね」
困ったように眉を下げて笑う彼。
大人なんだから、自分の感情くらい自分で処理しろよ。
さすがにあんなの、いくらこの業界に慣れていても滅入ってしまう。
「……でも、言ってること間違ってない」
とぼとぼ歩く彼が零したそれに
驚いて、俺らの足が止まる。
それに合わせたのか、はたまた自らなのか
彼も足を止めて。
「……気遣ってるとか、優しくしてるとか、…僕の最低限の思いやりのつもりだったんだけど、……そういうのって、仕事だと通用しないよね」
一点を見つめてそう零す彼は、初めて見る彼だった。
俺らの前で弱音を吐くのも、初めて。
「……ねぇ、真に受けなくていいんだよ。
優しさが短所なんてあるわけないよ、それは潤くんのいいところでしょう」
「ふふ、でもああやって思う人も居るんだよ、……仕事とは区別しなきゃいけないのに、それが出来てない僕が悪い」
未だに、困ったように笑って言葉を落とす初めて見る彼に
俺らが戸惑ってしまって、空気が固まる。
「……ふふ、ごめんね、ありがとう。ちょっと頭冷やしてくる、楽屋戻ってて？」
ほら、
こんなときにだって俺らのことを気遣えるんだから。
それが短所なわけないんだよ。
そんなのありえないんだよ。
そう言えたらよかったけれど
初めて見る哀しい背中に、声を掛けられなくて。
彼の背に触れていたリーダーの手が、寂しそうに彷徨っていた。
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ヲ伽 -otogi-(プロフ) - Kazue Akasakaさん» コメントありがとうございます✨『らしい』という言葉がとてもうれしいです、、！楽しんでいただけるようにがんばりますので、ぜひお付き合いよろしくお願いします🥰 (2022年11月24日 14時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
Kazue Akasaka(プロフ) - こちらでのコメントは初めてさせて頂きます。ヲ伽さんらしい繊細なお話で続きが楽しみです。 (2022年11月23日 19時) (レス) @page5 id: fbdba45f48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽
| 作成日時：2022年11月23日 18時
