878 / 心の中に優しく置いて ページ28
side N
”伝える” 、”お話する” って
説明する、とか教える、じゃなくてその言葉を選んだことにも
俺らの、
”出来なかった勉強をしてるっていう潤くんの意識を増幅させないこと”
に対しての暗黙の了解が込められてる。
優しく髪を梳いて
しっかり、でも優しく見つめながらゆっくり話す翔ちゃんに
潤くんも、瞳が揺れながらもちゃんと翔ちゃんの目を見てる。
潤「…………………え、と……」
翔「うん、ゆっくりでいいよ」
理解できなくてついていけなかった勉強に関して
わかるようにってゆっくり教えてもらえて、
すべて許してもらえる状況に突然変わって。
そうなったとき、自分はどうしたらいいのか、どうしようかとか
そういうことに対して困惑してしまうんだろう、潤くんはまだ整理出来なくて。
いいよ、って許してもらえたときにそうなってしまうのは潤くんの特徴だから
翔ちゃんもそうなることはわかっていて。
キョロキョロして考える潤くんを抱き上げて膝に乗せてあげて
柔らかく包み込む。
潤「ぁ、の…、」
十数分待ってると
俯いてた顔が上がって、俺らを見ようと顔をキョロキョロさせる。
彼の視界にみんなが入るように移動すれば
きゅ、って翔ちゃんの服を握りながら話してくれる。
潤「ぁ、のね…、おべんきょ、あの……んと、にがて……だから、
わかんないこと……たくさん、で……なんかいも、きいちゃう…と、おもうけど…
でもっ、あの………がんばる、から…、
あ、むりしないで、ゆっくり……がんばる、からっ、おねがい…しますっ、」
”できない” だったものを
”にがて” っていう表現に変えてくれただけでうれしくて
自分が無理するとみんなが苦しいから、ってその理由だとしても
ずっと伝えてきた、”ゆっくりでいいよ” っていうのを受け入れてくれたのもうれしくて。
潤「…………わわっ、…んふ、」
一緒にゆっくりやろうね、って
そう言いながら抱きしめる俺らにちょっと驚いて
でもうれしそうに声を漏らす。
彼の過去の嫌なことは消せないし
彼の嫌な記憶も消せないけど
上書きすることなら出来ると思うから。
”勉強に関する記憶が
俺らと一緒にやったものに変われば ”
そう願うのは、
その願い方は
今までと、なんら変わりないもので。
879 / ヒビは戻らないから→←877 / 心の中に優しく置いて
1179人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - 山さん» ありがとうございます´`*! (2021年7月2日 1時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
山 - 姫ちゃんのTwitterフォローさせて頂きました(*´∀`*) (2021年7月1日 22時) (レス) id: 1e6ac630d2 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - stormさん» 姫と接してると兄さんたちもゆるくなるのかも…( º_º )ですね笑 (2021年4月20日 18時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - ちぇろさん» 誰かを笑顔にできるって素敵ですよね〜´`*こちらこそ、いつも読んでいただきありがとうございます( ; ; )! (2021年4月20日 18時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 可愛い。笑同士がいてよかった笑笑姫ちゃんの出来ることや得意なことがたくさん増えて兄さんたち含めファンの子たちも嬉しいだろうね(*^_^*) (2021年4月20日 17時) (レス) id: 59853f2783 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ヲ伽 -otogi- | 作成日時:2021年3月25日 17時