木漏れ日より、愛を込めて -20-

876 / 心の中に優しく置いて ページ26

side N




俺らはずっと、言葉には慎重だった。

潤くんの心にそのまま入るもので、

柱にもナイフにもなるものだから

言葉の、文章の端から端まで

潤くんの心のナイフになるものは絶対選ばない。




俺が最初からそうしてるのを見たからか

3人も、それはすぐに察してくれた。




だから今、翔ちゃんが言葉をものすごく選んでるのがわかる。

母親からのものとはまた違って、心だけで受けた痛みだから

尚更、自分はわからない、理解できないって思わせないように

たくさん言葉を選んでる。




それと、

どうやって教えようか、たくさんシミュレーションしたことも。









お花が最初は10個あったね、って

分けたおはじきを見ながら、ちょっと考える潤くん。




考え込む彼を待っていた翔ちゃんを

潤くんは不安そうに見つめて。




潤「かず……ごこ、あって、……おれも、ごこ、あったら……じゅっこ…なる、かな……？？」




震えた声で伝える潤くんに

翔ちゃんは優しく微笑んで、わしゃわしゃと頭を撫でてあげて。




翔「ふふ、うん、合ってる！潤できなくないよ？できるじゃん！」




目いっぱい褒められた潤くんは

目に見えてわかるくらい体から力が抜けて

ちょっと照れたように笑って。




雅紀「すごいね、ふふ、潤ちゃんすぐわかったね？」

「ふふ、潤くんできるね？」

智「潤ちゃんわかるの早くてびっくりしちゃった、ふふ」




みんなで褒めて撫でてあげれば

目を瞑ってうれしそうに撫でられてる。

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