木漏れ日より、愛を込めて -20-

866 / 命と心の観え方 ページ16

side A




潤「できた！ぜんぶ！」

和也「お、できたー？じゃあねー、それを貼っていこう」




説明が書けるスペースを空けて貼っていって

今度は潤ちゃんが文章を考える。




潤「うまく、かけるかなー………」

智「上手くなんて考えなくていいよ、思うように書いてごらん」




縁側に座って俺らに挟まれながらも、不安気な潤ちゃん。

頭を撫でられて優しく促された彼は

ペンを持って花を眺める。




智「まずはどのお花から書く？」

潤「んとね…、………あのこ、」




本にするノートに貼った1枚目でもなく、

庭の端っこに咲くものでもない花を指したのが不思議で

理由を尋ねれば。




潤「あのこはね、いちばんがすきなの」

和也「…………そうなの？？」

潤「うん、だからまんなかなの」

「ほんとだ、真ん中に咲いてる…」

潤「んふ、ね？
まんなかじゃないとねー、しゅんってしちゃう、ふふ」

智「………そうやってみえるの？？」

潤「うん、おかおがしゅんってなるの、んふ」

翔「そうなんだ…」




そうやって書こ〜って楽しそうに書き始めた彼をよそに

目を合わせた俺らは、互いにちょっと不思議顔。




この子には、こういう感性もあるんだ。

”人と違う” っていうのは

こんなステキなものも連れてくる。




和也「ねぇねぇ、このお花は？」

潤「そのこはねー、ちょっとさみしがりやさん」

翔「寂しがり屋？」

潤「うん、あさね、おはようっていわなきゃ、ぷくってしちゃう、ふふ」

「ふふ、そっか、寂しがり屋さんだね」

潤「ねー？だからあさはね、おはようっていうの」

智「ふふ、そうだね、潤ちゃんいつもおはようって言ってる」

潤「うんっ、いったらね、えがおになる、みんなっ」




20種類もあるのに

すべての花の性格を知っていて

この子はね、って人と物を区別せずに考えていて。




こういう面を見れば見る度、

この子にはありのままで居てほしいと強く思う。




無いものもあるけれど

それ以上に、誰も持たない心を持つ子だと感じる。




だからこそ、

この子の魅力は、”ありのまま” にあるんだ。

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