850 / 彩愛の存在 ページ43
side S
和也「潤くん、かず苦しくなかったよ、そんなの思ってないよ」
潤「っ、んーん……んーんっ、かず……くるし、」
和也「その時は苦しくてもね、今も苦しかったなんて思ってないの」
潤「…………っ、いま……も、」
和也「ううん、今は思ってない。
あの時があったから、潤くんのことたくさん知れたんだよ。
潤くんとたくさんお話出来たし、たくさん思い出出来た。
潤くんのこと、たくさん大切って思えたんだよ」
あのノートの言葉たちが脳裏に過ぎるのか
フルフルと首を横に振る。
和也「潤くん？潤くんがね、一番大切にしたかった時間をかずに託してくれて、かずはすごく嬉しかったんだよ」
潤「………、」
和也「世界中でかずと潤くんしか知らないあの時間は、かずの宝物なんだよ」
疑い気味で俯いてた潤の顔が
ニノのその言葉で、そっとあがって。
チラリと潤の瞳に映されたニノは
途端に優しく表情を崩す。
和也「かずが潤くんとの時間の中で後悔してる時間なんてないよ」
潤「…………かず、」
和也「苦しい時間も、泣いた時間も、ぜんぶぜんぶ宝物」
潤「…………っ、かず……」
和也「今は、居なくなっても、なんて思わない？」
潤「………っも、わな……っ、かず、を…っ、くるしめちゃう…っ、」
和也「ふふ…、うん、ありがとう」
ポタポタと地面に落ちる涙を、選りすぐりで拭って
髪を梳くように撫でて。
そんなニノの瞳は、愛おしいものを見る色をしていて。
和也「潤くんが居なくなったらかずが苦しい、って
それを今、知ってくれてるのはうれしい。
そう思えなかった潤くんを知ってるから」
潤「ん…っ、」
和也「死ぬの、死なないの、って言い合いした時間も宝物、ふふ」
潤「んっ、かず……っ」
和也「うん、ぜんぶ宝物。
潤くんにどんどん色が付いていくのを見られてうれしいよ。
その過程をかずがぜんぶ知ってるっていうのは、かずの自慢だもん」
ズルズルと座り込む彼を
優しく包み込む。
うん、うん、って頷く潤は
もう、ニノの言葉を疑うことなんて忘れた。
それも、
ニノの積み重ね。
和也「潤くんは、かずを苦しめた人じゃないよ。
潤くんはかずに、幸せをくれた人」
震える手が
そっと、強くニノの背中に回る。
時折漏れる声は
ひどく儚く、ひどく幸せの色を持っていて。
ニノの苦しさの詰まったノートだと受け取られたそれは
潤の中で、ハッキリと色を変えた。
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ヲ伽 -otogi-(プロフ) - 櫻宮さん» ふたりの様子と共に、3人の心の中もどう思っていたのかも想像していただけたらと思います´`*。こちらこそ読んでいただきありがとうございました(*^^*) (2021年3月20日 20時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 素敵なお話ありがとうございます！ (2021年3月20日 17時) (レス) id: 59853f2783 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 何だろう。涙ぐんでしまいました。ニノの想い、覚悟。「かずの自慢」ニノの想いがこの言葉に込められているなぁと思いました。潤くんはニノの想いを受け止めて、だからたくさんの愛と感謝を込めて。3人はそんな2人をどう見ていたのかな。 (2021年3月20日 17時) (レス) id: 59853f2783 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - 大宮さん» 本当に誰かを思うことって、やっぱり相手から思われてるから思おうとすると思うんですよね。潤くんの自分への思いを知ったから自分も…っていう相互関係とか、それを壊れないバネにできるニノの強さとか…それらを知っていただけてうれしいです。ありがとうございます！ (2021年3月20日 16時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - aracick5963さん» 確かにそういった変換もありますね〜！人それぞれ解釈あるので、それを知れてうれしいです´`*いつも読んでいただいて、わたしも大好きです( ; ; )！ (2021年3月20日 15時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi-
| 作成日時：2021年2月26日 17時
