32 / 絶望を超えるもの ページ33
side O
会議室のようなところに連れて行かれると
そこには既に、担当医とその上司と、冴木さんが居た。
「まず…報告が遅れて申し訳ありません」
「………いえ…」
気のない声でそう応えるニノは
この先に怯えてる。
「………単刀直入になりますが…、
犯人のものと思われる指紋は、家の中にはありませんでした」
「………………………玄関にも…？」
「…はい、」
怯えてたニノの表情も
一変して謎が全部を占めた。
「…………拭き取られたか、手袋をしていたかだと思っています」
「……………他に、何か…、犯人の…」
「………………………痕跡が、全くありません」
放たれた冴木さんのその一言で
現実から逃げるように椅子の背に凭れていた身体を
引っ張られたように起こして。
震える声で、そっと。
「っ、全く…って、包丁とか…っ」
「はい、その凶器となった包丁には松本さんの指紋しかなく、
その上、家にあった包丁だと思われます」
「じゃあ…っ！じゃあ犯人が中入って、それを…っ」
「はい、我々もそのはずだと考えたんです。
しかし足跡さえ家の中にはなく、その包丁がどう取られたかもわかっていません」
何もわからなくて、
全てが謎めいた状況に
ニノは呆然として。
知りたくなかった真実だったのに
いざ知れないとなると、今度はそれに絶望して。
どの道を歩いても
どう前を向いても
絶望しかない。
「二宮さん、何か少しでも心当たりのあることはありませんか」
縋るようにニノに尋ねる冴木さんも
経験のないことなのか、少し焦っているようで。
そんな冴木さんに戸惑い、俯いてしまったニノは
眉間に皺を寄せて考え込む。
「…………………………………あ、」
「……ニノ？」
眉間から皺がスッと消え
ゆっくりあげた顔は、少し前の日を見るようで。
「……………前の日…の夜、……なんか変だった…」
「っ、変って？変ってなに、」
邪魔しないようにと黙っていた俺らも
何か手がかりがあるのかと思い、前のめりになってしまう。
「信じて…って、……裏切らないから…独りにしないからって…
……………………何か……危ないって、感じてたのかも…」
「っ、それは…それはその夜突然ですか？」
「………………いや…、
2人で焼肉行った…そう、28日です、9月28日からっ、」
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櫻宮 - 嫌な展開になりまくってる気がするのは私だけでしょうか。。(^^;)確証も何もない中彼が、彼らが見るのは天国か地獄か。続き気になる！ (2020年11月22日 18時) (
レス) id: 59853f2783 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - もちろん楽しみに待っています！ (2020年11月21日 13時) (レス) id: 59853f2783 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - 櫻宮さん» ありがとうございます´`*！これからも楽しみにしていただければうれしいです〜(*^^*) (2020年11月21日 0時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 犯人が彼らでないにしても何という残酷な。。まさに開いた口がふさがらないです。続き気になる！ (2020年11月20日 19時) (レス) id: 59853f2783 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - え！？どういう。。？？続き気になる！ (2020年11月17日 21時) (レス) id: 59853f2783 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi-
| 作成日時：2020年10月5日 18時
