27 / 砦 ページ29
side A
「………ひとりで動く奴があるかよ」
「悪かったよ…」
その夜、
ニノの家に2人を呼んだ。
リーダーが、
呆れたようにニノに怒る。
「で？なんで生い立ちを探りに行ったの」
翔ちゃんも同じような態度でニノに尋ねると
諦めたように口を開く。
「………潤くんは、行方を晦ます前にあの病院に行った。
そんでたぶん、俺らが来ることも伝えて、黙ってるようにも伝えた、先生に」
「………それで？」
「…………………考えた、先生には全て話したのかって。
………なんで大きい病院じゃなく、あの病院に行ったのか。
…………先生にしか分からないことがあったんだって思った」
「それで……生い立ち、か」
彼の推理に、
妙に納得した。
「で、先生は？」
「なーんにも。
反応は示したから、潤くんが行方不明って知ってると思う。
………その理由もね」
「理由？なのに放ってるの？」
「……放ってるんじゃなく、時間を与えてるんだと思う」
「…………行方不明になる危険よりも、優先される理由か…」
前かがみになっていた体を戻し、
ソファに体を沈める。
「……………書けない理由も、生い立ちにあるな」
「うん、……あとこれ」
「……松潤の文字？」
「俺が、“待ってるから“って残した。
この前の潤くんの返事としてね。
そしたらこれがあった、今日」
「どういう意味なのこれ…？」
「………………“助けて“、」
呟くように俺が堕とすと
チラリと視線をこちらに向けた2人は
脱力するように、ソファに体を堕とす。
直接手を伸ばす恐怖を
この形でしか拭えないんだろう。
間接的にしか、
彼は手を伸ばせない。
頼ることができない。
「………………バカだなアイツ…」
宙を見てそう呟き
携帯を手にし、ダイヤルボタンを押す翔ちゃん。
それを押す指に躊躇いがないことが
彼が出ないという確信があることを伝えている。
響き渡るコール音に
心の波が徐々に静まる。
彼なりの気遣いだ。
とりあえず落ち着こうという、気遣い。
ふぅ、と
4つの溜め息が零れたとき
コール音が、
止んだ。
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ヲ伽 -otogi-(プロフ) - 楓さん» わわわありがとうございます( ; ; )めちゃくちゃ嬉しいです、、！ (2020年8月17日 23時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - ヲ伽さんのお話、本当に好きです(; ;)更新楽しみにしています！ (2020年8月17日 22時) (レス) id: 8b170ae239 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - 嵐華さん» いつもありがとうございます( ; ; )嬉しいです、、！ (2020年8月10日 2時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
嵐華 - ヲ伽さんの紡ぐ文章に惹き付けられます。大好きです。次の更新も待ってます！ (2020年8月10日 1時) (レス) id: fc50a29d39 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - ナナさん» めちゃくちゃ嬉しいです、、！ありがとうございます´`*！楽しんでいただけて幸いです(*^^*) (2020年8月8日 20時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi-
| 作成日時：2020年7月6日 19時
