20 / 守秘義務 ページ22
side S
海に囲まれた街で、ザザー、と波が唸る。
元気よく照る太陽と
それには似合わない、冷たい風。
肌を冷やすそれは
覚悟まで冷やしそうで。
「行こう、」
病院を前にして、少し躊躇っている自分も含めて
3人に声を掛けた。
″ 午後休診 ″ と書かれた扉をノックする。
開かないと分かっていながら押すと
開いてしまった扉。
………田舎だからってセキュリティが甘すぎる。
「………すみません、」
「あぁごめんね今日はもう─────……、」
患者だと思ったのか、
奥から優しいおじいちゃん先生がそう言いながら出てきたと思えば
俺らの顔を見てから、
何かを察したように黙り込んだ。
「…………お話聞かせてくれませんか」
智くんがそうとだけ言うと
優しい笑顔のまま頷き、奥へ案内してくれた。
「一度会ってみたかったんだ、潤くんから話は聞いていたから」
「………潤くん、此処へよく来てたんですか？」
「いや、おばあちゃんが亡くなったときに会って以来だけど手紙はくれてたんだ。
元気だから心配しないでくれ、っていつもそれは書かれてあって。
それと共に、君たちの話もね」
「じゃあ…幼い頃から知ってるんですか？」
「うん、おばあちゃんのかかりつけ医が此処だったからね、自然に潤くんも」
相葉くんが尋ねたあと
少しの沈黙が流れる。
本題に入ろうとしてる。
「…………潤くんが居ないこと、知ってますよね」
突然放ったニノの言葉に
つい振り返ってしまう。
それでもニノは、
確信がある瞳だった。
「…………居ないとはどういうことかな、」
「……いや、いいです。じゃあ…彼の病名を教えてください」
濁さず尋ねたニノの言葉は
驚いた様子の先生に、すぐには受け取られなかった。
「……申し訳ない、守秘義務があるからね」
「…………どうしてもですか、」
「あぁ、申し訳ないね」
珍しく猪突猛進なニノが黙ったところで
今度は智くんが尋ねる。
「じゃあ、彼が幼い頃によく行っていたところとか知りませんか」
「……僕が知ってる場所でいいなら」
「はい、構いません」
先生が知る限りの場所を教えてくれて
渋々病院を出た。
″ 守秘義務 ″
それを言われれば
俺らは何も出来ない。
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ヲ伽 -otogi-(プロフ) - 楓さん» わわわありがとうございます( ; ; )めちゃくちゃ嬉しいです、、！ (2020年8月17日 23時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - ヲ伽さんのお話、本当に好きです(; ;)更新楽しみにしています！ (2020年8月17日 22時) (レス) id: 8b170ae239 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - 嵐華さん» いつもありがとうございます( ; ; )嬉しいです、、！ (2020年8月10日 2時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
嵐華 - ヲ伽さんの紡ぐ文章に惹き付けられます。大好きです。次の更新も待ってます！ (2020年8月10日 1時) (レス) id: fc50a29d39 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - ナナさん» めちゃくちゃ嬉しいです、、！ありがとうございます´`*！楽しんでいただけて幸いです(*^^*) (2020年8月8日 20時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi-
| 作成日時：2020年7月6日 19時
