25 / 風が運ぶもの ページ27
side N
「……あぁ…こんにちは、」
「すみません何度も。お尋ねしたいことがあって」
「えぇ、どうぞ」
あの日から1週間後、
珍しく夕方前に仕事が終わった。
その足でまた病院に来ると
優しい笑顔で迎え入れてくれた。
この前と同じ席に座り、
先生と向かい合う。
「……単刀直入に聞いてもいいですか」
お茶を出そうとしてくれる先生が不思議そうにこちらを振り返り
お茶っ葉を置いて座り直す。
「………………潤くん、生い立ち聞きに来たんじゃないですか」
ピク、と
眉が動く。
知るはずがないと思ってたんだろう。
「…………教えてください、彼の真実」
「……………潤くんが言わない限り、僕が教える訳にはいかないんだ」
「じゃあ放っておけって言うんですか、
………先生は放っておけるんですか」
「………っ、」
「お願いします。真実を話してください」
苦を表す表情をして少し俯く先生。
でも、
扉の隙間から運ばれてきた風は
快諾ではなかった。
「申し訳ない、帰ってもらえるかな」
「……………黙ってるように言われてるんですか」
「………悪いね、これ以上は何も言えない」
「………………わかりました、失礼します」
埒が明かないと感じ、
会釈だけして部屋を出る。
生い立ちを聞きに来たことは確実だ。
そして、
先生が潤くんの行方不明を知ってることも。
危険よりも優先する理由って何だ？
「放ってるってより……、時間を与えてる…？」
昔から知ってる彼を、放っておくような人には見えない。
ということは、時間を与えてるのかもしれない。
「……おわっ、……びっくりした…」
病院を出ると、
目の前に居たのは相葉くん。
「……ひとりで何探ってんの」
「急に現れないでよ、」
「質問に答えて」
「………悪かったって…、聞きに来たんだよ」
「何を？」
「…………潤くんの生い立ち」
答えるまで退いてくれそうもない彼に答えてから
彼を避けるように車の方へ進む。
「……なんで生い立ちなの」
「みんなにも話そうと思ってたから今夜話すよ…」
「………ひとりで動くなよ」
「ごめんって、……それより、ちょっと付き合って」
「どこに、」
「この前潤くんの字があった海辺」
後ろから着いてくるように促し、
それぞれの車で海に向かった。
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ヲ伽 -otogi-(プロフ) - 楓さん» わわわありがとうございます( ; ; )めちゃくちゃ嬉しいです、、！ (2020年8月17日 23時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - ヲ伽さんのお話、本当に好きです(; ;)更新楽しみにしています！ (2020年8月17日 22時) (レス) id: 8b170ae239 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - 嵐華さん» いつもありがとうございます( ; ; )嬉しいです、、！ (2020年8月10日 2時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
嵐華 - ヲ伽さんの紡ぐ文章に惹き付けられます。大好きです。次の更新も待ってます！ (2020年8月10日 1時) (レス) id: fc50a29d39 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - ナナさん» めちゃくちゃ嬉しいです、、！ありがとうございます´`*！楽しんでいただけて幸いです(*^^*) (2020年8月8日 20時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi-
| 作成日時：2020年7月6日 19時
